[SSS16-P15] 状態空間モデルを用いたひずみ観測データのトレンド成分推定手法の検討
キーワード:ひずみ観測、状態空間モデル、地殻変動の客観的検知手法
ひずみ計による観測データから何らかの地殻変動を検知して、その変動源の推定を行う場合に、観測データに含まれる気圧や潮汐、降水などの影響を除去し、検知の対象とする地殻変動そのものの変化を把握することが必要である。通常、気圧の影響等による応答をあらかじめ調査しておき、観測値から分離することによって、真の地殻変動量を計算することが行われる。また、別の手法として、地殻変動観測時系列データを状態空間モデルとして表現し、観測値が与えられた条件下での状態ベクトルの分布を推定するものがある。(Matsumoto and Kitagawa(2003)、Peng et al.(2014)、高波他(2014)など)
本調査では、気象庁が観測しているひずみ計の時系列データを状態空間モデルとして表現し、カルマンフィルターのアルゴリズムと最尤パラメータによって状態の推定を行い、観測値のトレンド成分を分離することを試みた。ひずみ計による観測データの時系列を状態空間モデルとして定式化するにあたって、これまでの研究と同様、各時刻の観測値をトレンド成分、気圧応答成分、潮汐応答成分、降水応答成分、地震によるコサイスミックなステップや機器メンテナンスなどのジャンプ成分、および観測誤差の和として表現している。これに加えて、石井式ひずみ計の観測データには地磁気への応答成分の項も導入し、さらにジャンプ成分については、単純なステップ関数ではなく、地震による余効効果(これには地震による余効変動と急激なひずみ変化に対する計器の緩和的変動が含まれる)を表現してみた。
気圧応答成分などをあらかじめ調査しておき、観測値から分離することにより、真の地殻変動量を計算する従来の手法に比べて、状態空間モデルを用いる手法を使うことにより、検知の対象とするトレンド成分をより確率的にとらえることができる。この結果、何らかの地殻変動の開始や終了をより客観的に判定することが可能となり、ベイズ的な手法に基づく変動源のインバージョンを行う上でも利点がある。また、これまでに蓄積したデータに基づき、状態空間モデルのパラメータを適切に推定することができるならば、欠測値の補間や地殻変動のトレンド変化の検知とその変動源の推定をリアルタイムに行うことも可能であると考えられる。
本調査では、気象庁が観測しているひずみ計の時系列データを状態空間モデルとして表現し、カルマンフィルターのアルゴリズムと最尤パラメータによって状態の推定を行い、観測値のトレンド成分を分離することを試みた。ひずみ計による観測データの時系列を状態空間モデルとして定式化するにあたって、これまでの研究と同様、各時刻の観測値をトレンド成分、気圧応答成分、潮汐応答成分、降水応答成分、地震によるコサイスミックなステップや機器メンテナンスなどのジャンプ成分、および観測誤差の和として表現している。これに加えて、石井式ひずみ計の観測データには地磁気への応答成分の項も導入し、さらにジャンプ成分については、単純なステップ関数ではなく、地震による余効効果(これには地震による余効変動と急激なひずみ変化に対する計器の緩和的変動が含まれる)を表現してみた。
気圧応答成分などをあらかじめ調査しておき、観測値から分離することにより、真の地殻変動量を計算する従来の手法に比べて、状態空間モデルを用いる手法を使うことにより、検知の対象とするトレンド成分をより確率的にとらえることができる。この結果、何らかの地殻変動の開始や終了をより客観的に判定することが可能となり、ベイズ的な手法に基づく変動源のインバージョンを行う上でも利点がある。また、これまでに蓄積したデータに基づき、状態空間モデルのパラメータを適切に推定することができるならば、欠測値の補間や地殻変動のトレンド変化の検知とその変動源の推定をリアルタイムに行うことも可能であると考えられる。