日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS16] 地殻変動

2019年5月26日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:大園 真子(北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)、落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、加納 将行(東北大学理学研究科)

[SSS16-P16] 観測点の上流部からの流入を考慮したひずみ計データの降水補正の試み(2)

木村 一洋1、*小林 昭夫2 (1.気象庁、2.気象庁気象研究所)

キーワード:ひずみ計、降水補正、上流部からの流入

木村・他(2015)は、東海地域の体積ひずみ計16観測点の降水補正の結果から、観測点の上流部からの流入がない観測点では良好な降水補正が可能だが、観測点の上流部からの流入がある観測点では、観測点設置雨量計を用いた降水補正をしてもバラつきが大きいことを明らかにした。つまり、何らかの方法で観測点の上流部からの流入を把握すれば、降水補正の改善効果が見込まれる。そこで気象研究所では複数の手法による調査を行った(木村,2015)。

山の上流部に降った降水の影響を受けている観測点の1つである島田川根観測点は、大井川と身成川に挟まれた高台に位置しており特に身成川の影響を受けている可能性がある。そこで、気象研究所では身成川にかかる橋に超音波式水位計を設置し、2015年3月から2016年12月にかけて河川水位の連続観測を行った。

まず、この河川水位の観測データを直接タンクモデルの入力値として用いる手法について何通りかの方法を試みたが、どれもうまくいかなかった。この原因として降水量に対して河川水位のピークの値が大きすぎて重みを持ってしまい、降水量のようにタンクモデルの入力データとして取り扱うことが難しいためと考えられる。

次に、この河川水位データを、島田川根観測点の雨量計で観測された降水量データを用いて再現できるかどうかをタンクモデルを用いて試した。その結果、観測値と計算値の残差が、ひずみ計の降水補正の残差と関連していることが分かった。言い換えると、島田川根観測点の雨量計では説明しきれない変化が、ひずみ計と河川水位の両方に現れていることが分かった。まだ手法は見つけられてないが、河川水位観測からひずみ計の降水補正が改善できる可能性があることが示唆される。