[STT45-P05] ALOS-2/PALSAR-2を用いたデブリ氷河の氷河上湖の抽出
キーワード:氷河上湖、デブリ氷河、ALOS-2/PALSAR-2、起伏量
ヒマラヤ東部地域(ネパール東部とブータン)では,近年,巨大な氷河湖を持たないデブリ氷河(岩屑に覆われた巨大な谷氷河)からの出水による大規模な洪水が生じ,下流域の住民の脅威になっている.これら洪水は,デブリ氷河上に発達する小規模な氷河上湖や氷河内水路に貯まった水が氷河内水路の開放により出水が生じたと考えられている(Komori et al., 2012; Miles et al., 2018).衛星画像によるモニタリング手法で急激な氷河上湖の拡大を監視できればよいが,夏季のヒマラヤ地域はモンスーンの雲で覆われているため,光学衛星の可視画像を用いた監視は難しい.雲を透過して地上の湖面データを取得できる衛星データとしてマイクロ波データがある.ヒマラヤ地域では夏季に毎月1回データが取得されており,モンスーン期の氷河上湖をモニタリングに適している.しかし,デブリ氷河の氷河上湖の後方散乱係数は,氷河表面の起伏の影響で値が一様でなく,氷壁や陥没している地形でも後方散乱が小さくなるなど問題がある.そこで,本研究では,ALOS-2/PALSAR-2のマイクロ波データを用いて,デブリ氷河上の後方散乱係数に影響を及ぼす要因を除外し,デブリ氷河の氷河上湖を抽出した.
ゴジュンバ氷河で同時期に撮影されたSentinel-2とALOS-2 /PALSAR-2から抽出した氷河上湖の比較をおこなった結果,起伏量の小さいA区間と起伏量の大きいB~F区間で氷河上湖の後方散乱係数が異なっていた.末端部の氷河上湖の後方散乱係数は小さいが,中流部では値にばらつきがみられた.A区間には大規模な湖が発達し,起伏量の大きいB~F区間には小規模な湖が多数発達しており,数と面積の抽出の割合は末端で高い結果であった.
ゴジュンバ氷河で同時期に撮影されたSentinel-2とALOS-2 /PALSAR-2から抽出した氷河上湖の比較をおこなった結果,起伏量の小さいA区間と起伏量の大きいB~F区間で氷河上湖の後方散乱係数が異なっていた.末端部の氷河上湖の後方散乱係数は小さいが,中流部では値にばらつきがみられた.A区間には大規模な湖が発達し,起伏量の大きいB~F区間には小規模な湖が多数発達しており,数と面積の抽出の割合は末端で高い結果であった.