[SVC35-P04] 衛星SARを用いた降灰量分布推定手法の研究(序論)
キーワード:降灰分布、合成開口レーダー、干渉性
火山噴火によって火山灰が堆積すると、その後の降雨によって土石流が発生する場合があり、それが大きな災害を生じさせる可能性がある。その減災においては、降灰量分布を迅速に把握し、土石流発生の予測につなげることが重要である。しかし、現時点における降灰量分布の把握は、主に現地調査によって行われており、速報性や労力の観点から、簡便かつより速報性のある手法の開発が求められている。その解決の一つとして、衛星リモートセンシング技術の活用に期待されている。そこで、第2期戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」課題における開発項目の一つとして、衛星搭載型合成開口レーダー(SAR)を用いた降灰量推定手法の開発を行う。本発表においては、その予備的な解析結果を述べるとともに、本開発の概要を述べる。
本開発においては、SAR干渉法における干渉性に注目する。SAR干渉解析結果において、干渉性が高ければ明瞭な干渉縞が見られ、低ければ短周期のノイズが卓越し、干渉縞は不明瞭になる。一般に、その干渉性の劣化は、干渉させる2つのSAR画像取得時における地表でのレーダー波の散乱が異なることによって生じる。噴火時を含む干渉ペアのSAR干渉解析においては、地表面が火山灰に覆われることによるレーダー波の散乱の変化に起因する干渉性劣化域が、火口周辺において良く見られる。例えば、2019年1月17日に口永良部島で発生した噴火前後に取得されたPALSAR-2画像を解析したところ、新岳火口から約1kmの範囲で、降灰に起因すると考えられる干渉性劣化が見られた。さらに、南西と北西の谷に沿っては、干渉性劣化域が約1.5kmの範囲まで延びており、これは火砕流が発生した方向と一致する。また、2018年12月18日と2019年1月29日に発生した噴火についても解析を行ったところ、同様の干渉性劣化が火口周辺に見られたが、その範囲は明らかに2019年1月17日の噴火による小さい。特に、2019年1月29日の噴火における干渉性劣化域は、火口のごく近傍に限られている。このように、降灰範囲の差を明瞭に見ることができた。
このような干渉性劣化と降灰量を定量的に関係付けられれば、SAR干渉解析から降灰量を求められるはずである。そこで、本解析では、非噴火時のSARデータから、降灰以外の要因による干渉性劣化の時間変化モデルを構築し、そのモデルからの差から、降灰のみによる干渉性劣化成分の定量的な推定を試みる。さらに、事例解析から、干渉性と降灰量の変換係数を推定する。ただし、干渉性の性質上、降灰量がある量を超えたところで飽和することが考えられることや、降灰量が少ない場合には、干渉性では精度的に検出困難と考えられることから、干渉性の解析からは面的な降灰量分布の推定は困難である。そこで、本開発においては、干渉性の解析と降灰シミュレーションを組み合わせて、面的に降灰量の推定を試みる予定である。
本開発においては、SAR干渉法における干渉性に注目する。SAR干渉解析結果において、干渉性が高ければ明瞭な干渉縞が見られ、低ければ短周期のノイズが卓越し、干渉縞は不明瞭になる。一般に、その干渉性の劣化は、干渉させる2つのSAR画像取得時における地表でのレーダー波の散乱が異なることによって生じる。噴火時を含む干渉ペアのSAR干渉解析においては、地表面が火山灰に覆われることによるレーダー波の散乱の変化に起因する干渉性劣化域が、火口周辺において良く見られる。例えば、2019年1月17日に口永良部島で発生した噴火前後に取得されたPALSAR-2画像を解析したところ、新岳火口から約1kmの範囲で、降灰に起因すると考えられる干渉性劣化が見られた。さらに、南西と北西の谷に沿っては、干渉性劣化域が約1.5kmの範囲まで延びており、これは火砕流が発生した方向と一致する。また、2018年12月18日と2019年1月29日に発生した噴火についても解析を行ったところ、同様の干渉性劣化が火口周辺に見られたが、その範囲は明らかに2019年1月17日の噴火による小さい。特に、2019年1月29日の噴火における干渉性劣化域は、火口のごく近傍に限られている。このように、降灰範囲の差を明瞭に見ることができた。
このような干渉性劣化と降灰量を定量的に関係付けられれば、SAR干渉解析から降灰量を求められるはずである。そこで、本解析では、非噴火時のSARデータから、降灰以外の要因による干渉性劣化の時間変化モデルを構築し、そのモデルからの差から、降灰のみによる干渉性劣化成分の定量的な推定を試みる。さらに、事例解析から、干渉性と降灰量の変換係数を推定する。ただし、干渉性の性質上、降灰量がある量を超えたところで飽和することが考えられることや、降灰量が少ない場合には、干渉性では精度的に検出困難と考えられることから、干渉性の解析からは面的な降灰量分布の推定は困難である。そこで、本開発においては、干渉性の解析と降灰シミュレーションを組み合わせて、面的に降灰量の推定を試みる予定である。