[SVC36-P03] 摩周火山,過去14000年間におけるマグマ供給系の変遷
キーワード:摩周カルデラ、マグマ供給系、マグマ溜まり
摩周火山では約7500年前のプリニー式噴火や火砕流噴火など規模の大きな一連の爆発的噴火により径6km×7kmのカルデラが形成された(Katsui et al.,1975;勝井他,1986:岸本他,2009)。カルデラ形成前にも摩周火山では爆発的な噴火が過去4万年間を通して頻繁に繰り返されてきたことが指摘された(隅田,1990;長谷川他,2009)。本研究はカルデラ形成前後からカルデラ形成後の過去14000年間におけるマグマ供給系の変遷を考察する。
摩周火山過去14000年間のマグマ噴出量の積算変化図を見ると,噴出量が多い3つの噴火イベントが約7000年の間隔で起こった(Ma-l:14000年前,Ma-f〜j:カルデラ形成7500年前,Ma-b:1000年前)。カルデラ形成後は溶岩の噴出や爆発的な噴火を数百年程度以下の間隔で小刻みに繰り返した。約4000年前にカムイヌプリ中央火口丘が形成されてからは後カルデラ期で最も長い休止期間(約1500年)を経てMa-cの断続的な噴火が起こった。後カルデラ期を通した噴火履歴の特性から考えると,1000年前の最新噴火(Ma-b)から1000年の休止期間を経た現在は,マグマ蓄積の準備が整って新たな噴火イベントが始まる時期にあると言える。
約7500年前のカルデラ形成期においては石質岩片の種類の変化や鉱物組成の変化から複数のマグマ溜まりからの同時噴火の可能性が指摘された(和田他,2017:講演要旨)。全岩化学組成のTiO2-K2O図で見ると,カルデラ形成を引き起こしたマグマは,後カルデラ期と約14000年前のMa-l期のマグマとは異なる組成領域にあって,約7500年前の時期だけマグマ供給系が異なっていたことが推定される。
MELTSプログラムと鉱物温度計から推定すると,斑晶鉱物(斜長石-直方輝石-普通輝石-鉄チタン酸化物)が平衡に存在できる摩周火山の珪長質マグマ溜まりは圧力4〜5kb,H2O 4〜5%,温度930℃〜970℃の条件が最も適合し,これは過去14000年間を通して大きく変化していなかった可能性がある。
摩周火山過去14000年間のマグマ噴出量の積算変化図を見ると,噴出量が多い3つの噴火イベントが約7000年の間隔で起こった(Ma-l:14000年前,Ma-f〜j:カルデラ形成7500年前,Ma-b:1000年前)。カルデラ形成後は溶岩の噴出や爆発的な噴火を数百年程度以下の間隔で小刻みに繰り返した。約4000年前にカムイヌプリ中央火口丘が形成されてからは後カルデラ期で最も長い休止期間(約1500年)を経てMa-cの断続的な噴火が起こった。後カルデラ期を通した噴火履歴の特性から考えると,1000年前の最新噴火(Ma-b)から1000年の休止期間を経た現在は,マグマ蓄積の準備が整って新たな噴火イベントが始まる時期にあると言える。
約7500年前のカルデラ形成期においては石質岩片の種類の変化や鉱物組成の変化から複数のマグマ溜まりからの同時噴火の可能性が指摘された(和田他,2017:講演要旨)。全岩化学組成のTiO2-K2O図で見ると,カルデラ形成を引き起こしたマグマは,後カルデラ期と約14000年前のMa-l期のマグマとは異なる組成領域にあって,約7500年前の時期だけマグマ供給系が異なっていたことが推定される。
MELTSプログラムと鉱物温度計から推定すると,斑晶鉱物(斜長石-直方輝石-普通輝石-鉄チタン酸化物)が平衡に存在できる摩周火山の珪長質マグマ溜まりは圧力4〜5kb,H2O 4〜5%,温度930℃〜970℃の条件が最も適合し,これは過去14000年間を通して大きく変化していなかった可能性がある。