日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC38] 活動的火山

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC38-P03] 吾妻山におけるBP型・BT型地震について

*吉開 裕亮1森田 裕一2近江 克也3丹原 裕4小林 宰1 (1.気象庁火山課、2.東京大学地震研究所、3.仙台管区気象台地震火山課、4.仙台管区気象台地域火山監視・警報センター)

キーワード:吾妻山、火山性地震、N型地震

山形県と福島県の県境に位置する吾妻山では,2018年7月22日に火山性微動が発生し,浄土平総合観測点(大穴火口の東南東約1km)の傾斜計では火口方向上がりの変動が顕著となった.火山性地震は8月以降増減を繰り返しながらも多い状態であり,火山活動が活発な状態が継続している.気象庁では,9月13日に火口周辺警報を発表し,噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げた.

大穴火口周辺では主に高周波成分が卓越するBH型,低周波成分が卓越するBL型,ハーモニックな波形を持つBP型・BT型の火山性地震が発生している.火山性地震は概ね大穴火口付近の深さ1km以浅で発生する.

2018年7月から10月にかけてはBH型地震が主に発生し,11月になるとBL型地震やBP型・BT型地震の割合が若干増加した.その後,BL型地震の割合は減少したが,BP型・BT型地震の割合はさらに増加し,火山性地震に占めるBP型・BT型地震の割合が11月には25%,12月以降は40~50%と現在も多い状態となっている.2018年7月以降に発生したBP型・BT型地震は,2010年から2011年にかけて発生したBP型・BT型地震で見られた,単一な周波数ピークを持つ減衰振動の他,複数の周波数ピークを持つ減衰振動,波の立ち上がり付近に高周波なイベントを伴うものや近接する周波数ピークにより共鳴しているもの等様々なタイプが発生しており,卓越周波数の系統的な変化はみえない.本発表では,2018年7月以降に発生したBP型・BT型地震について,波形の形や振幅比等に着目した結果を紹介する.

本調査は,東京大学地震研究所と気象庁地震火山部の間の地震・火山防災研究分野における連携・協力に関する協定の下,東京大学地震研究所の設備を利用し,地震研究所の皆様と議論させて頂きました.関係の皆様に謝意を表します.