日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC38] 活動的火山

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC38-P15] 2007年および2014年御嶽山噴火前後に発生した山頂付近の地震活動

*山中 佳子1堀川 信一郎1前田 裕太1 (1.名古屋大学大学院環境学研究科)

キーワード:御嶽山、地震活動

2017年10月より,名古屋大学では,株式会社計測技研と共同開発した小型・低消費電力の地震観測テレメータ装置(堀川他,2017火山学会)の試験運用として御嶽山山頂に10点地震観測点を設置し,リアルタイム観測を行っている.これらのデータに御嶽山から概ね10km以内にある名大の定常観測点8点,気象庁の9点を加えて2017年11月~2018年6月の山頂直下の地震活動を求めた.その結果.地震は剣ヶ峰の南西から西の領域(地獄谷西側)で2014年噴火の火口列周辺に集中しており,深さは用いる構造にもよるが深さ0kmから-1.5kmではほぼ直線上に分布し,-1.5km付近で北東ー南西方向に広がることがわかった.(山中他,2018年JpGU)
今回この時に求められた観測点補正値を用いて,山頂観測点がない時期に発生した地震活動について震源分布を求めた.2014年の噴火前は,深さ1.0km付近から-0.6km付近まで直線的に地震が起こっており,これらは2017-2018年の活動で見られる直線上の活動の延長線上にある.噴火後,地震活動は深さ-0.6km付近から南北2方向に別れ,深さ-1.2km付近で一気に広がるように見える.この南北方向に広がった活動は徐々に浅く南西方向に広がりつつ現在の地震活動域に至っている.
2007年の噴火前の2月までの地震活動については.観測点が少なく地震規模も小さめであるため震源位置を決めることができた地震数は少ないが,地震は深さ3kmから2014年の活動に比べると全体的に深く,深さ0 km以浅の地震はほとんどない.また深さ3kmから0km付近で発生した地震は直線上に分布しており,2014年噴火前の直線上の地震活動とほぼ同じ,またはその深部延長上で起こっていたことがわかった.このことから2007年と2014年の噴火時,ほぼ同じ通路を通って熱源となったなんらかの流体が上昇してきたと考えられる.