日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC38] 活動的火山

2019年5月27日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、三輪 学央(防災科学技術研究所)、西村 太志(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)

[SVC38-P42] 開聞岳南方海域の崩れ地形の成因を海底地形とマルチチャンネル反射波地震探査から探る

*山口 寛登1清水 賢2井和丸 光2佐野 守2島 伸和3,2堀内 美咲3松野 哲男2,3巽 好幸2,3 (1.神戸大学理学部惑星学科、2.神戸大学海洋底探査センター、3.神戸大学理学研究科惑星学専攻)

キーワード:反射波地震法、海底地形図、開聞岳

開聞岳は4400年前に浅海域で活動を開始した火山であり、この火山の南方には海底地すべりのような地形があることが先行研究(海上保安庁2007)より分かっている。神戸大学海事科学部附属練習船深江丸での2018年3月と10月の探査航海で、この海域のマルチチャンネル反射波地震探査データと海底地形データが得られた。これらのデータを解析することで海底地すべりのような地形は地すべりで形成されたものなのか、もし地すべりならば発生源はどこなのかを調べた。海底地形データは海底地形図(図)にして、さらに地形解析として陰影図・傾斜量図・地形凹凸度指数(でこぼこ図)を求めた。反射波地震探査は地すべり状の地形を東西と南北に横切るような11本の測線で実施した(図のみどり線)。得られたデータから反射断面図を作成した。反射断面図からある反射面を境界として、崩れの影響を受けたとみられる厚さ70mほどの上層と広域にわたって安定して堆積した下層に分けられることが分かった。崩れの影響を受けたとみられる上層には逆断層や褶曲構造がみられ水平圧縮方向の力が加わったことを示している。海底地形図と上層の反射断面図から地すべりのような地形を大きく4つの異なった特徴を示すエリアに分け、それぞれ東部北側・東部南側・中央部・西部と名前を付けた。それぞれのエリアの特徴を次に示す。
・東部北側の地形は凹凸が激しく、傾斜量が大きい場所が点在している。反射断面図では、崩れの影響を受けた上層と受けていない下層の境界の反射面が不明瞭になっており、より深部まで崩れの影響を受けている。
・東部南側の地形は大部分で凸凹が少なく、傾斜量も小さい。反射断面図では、東西方向に走向をもつ逆断層がみられる。また成層構造が保たれた場所もところどころにみられる。
・中央部の地形は、他のエリアと比べて凹凸と傾斜量が穏やかである。反射断面図では、北北西-南南東方向に走向をもつ断層が多数みられる。また、成層構造が東と西の両端でみられる。
・西部の地形は東部北側ほどではないが、凹凸と傾斜量がともに大きい。反射断面図は中央部より少ないが南北に走向をもつ断層がみられる。
このような結果から、海底を押し流す地すべりが東部北側を発生源として起きた、流れの方向は東部では南方向、中央部から西部は西南西方向であると結論づけた。その理由は、東部北側でより深部まで崩れの影響を受けていること、断層や褶曲構造から推定される応力構造が東部で南北圧縮、中央部と西部はほぼ東西圧縮であること、地形の凹凸や傾斜が東側ほど大きくなる傾向があることがあげられる。