日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-01] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、小森 次郎(帝京平成大学)、林 信太郎(秋田大学大学院教育学研究科)

[G01-P05] 幼稚園での継続的な防災保育の実践報告

*山田 伸之1丁子 かおる2 (1.高知大学、2.和歌山大学)

キーワード:防災保育、幼稚園

本報告では,著者らが数年来取り組んできた各種園での地震防災保育の実践活動のうち,和歌山市の幼稚園での同一園において,1~2年毎に複数回の実施による実践報告と実践後のアンケート等の調査結果を報告する。

 防災保育では,日常の活動との関わりを重視し,遊びや体感,関わりあいを交えた各種防災体験ツールを活用し,その中では,ペープサートの劇を見たり,身を守るための姿勢を,歌とダンスを交えて学んだり,揺れや煙・暗やみなどを体験したり,危険物から回避したりする活動をコースのアトラクションとして用意し,それらを園児が1つずつ乗り越えていくように設定した。5才児クラスなどでは,保育者による「ふり返り活動」を行ってもらい,参加したすべての子どもたちへの活動の印象づけを強くし,家庭でも話題提供のきっかけにすることも行った。一連の各種の体験活動などは,0~6歳までの子どもの発達に合わせて適用し,ほぼすべての子どもたちが取り組むことができていた。また,防災保育終了後には,保護者と保育者への教室も実施した。

 保護者向けと保育者向けのアンケートは,無記名形式で行った。保護者向けのアンケート結果では,ほとんどの家庭で,もしものときのことを話し合った経験があると答え,防災への関心の高さがうかがえた。園での防災保育の必要性については,大部分の保護者は肯定的であるが,一部の保護者は,負担を感じているようでもあった。全般的に概ね好評であり,子どもたちが成長していく段階に合わせた防災教育の継続性も必要であることをあらためて認識させられた。

 今後も,防災保育研究を推進するにあたって,保護者の不安も考慮しながら,子どもたちを守るための取り組み実践を蓄積・継続し,保育園や認定こども園なども含めた乳幼児を対象とした防災保育への新たな方向性についての議論を高め,新たな展開をしたいと考えている。

なお,本研究は,JSPS科研費(基盤研究(C): 16K00971)の一部を活用しました。関係者各位に記して感謝いたします。