[HCG29-P02] マングローブ林における表層侵食・堆積測定の試み
キーワード:海面上昇、生態系の適応、マングローブ林、土砂輸送
海面上昇によるマングローブ林への影響を定量的に評価するために、2018年に西表島、ミクロネシア連邦ポンペイ島において短期的な表層侵食・堆積速度の測定を試みた。海面上昇に対して林内の土砂の堆積速度が十分に早ければ、マングローブ林はその変化に適応できるが(藤本ほか 1989)、堆積速度が遅いか、侵食速度がそれを上回る場合には海面上昇への適応ができなくなる(Furukawa et.al. 2002)。
堆積速度については、林床に径7cmのセジメントラップを空間的に設置することで測定した。また、堆積物中の有機物を簡易に推定するために400度で燃焼させ秤量した。浮遊している土砂が水中で十分に混合している場合には、土砂供給源から自然対数関数に近似される堆積状況となる(Furukawa et.al. 1997)ことを利用して堆積状況を推測した。侵食速度は、海側の林分境界において濁度・水位を時間的に密(1分毎)に計測することで土砂の出入りを観測し、そこから堆積量を差し引くことで、侵食量を推算した。
特性の異なる観測地における結果から、堆積と同程度の侵食が発生している可能性が示された。なお、更なる検討のためには、1) 浸水・干出前後のシートフロー状の流れによる土砂輸送機構の解明、2) 潮汐の大小による輸送過程の変化、3) クリークなどによる輸送の評価などが必要であることが分かった。
本研究は、マングローブ林における群落レベルでの海面上昇影響の実態把握の一部として実施されたものである。
堆積速度については、林床に径7cmのセジメントラップを空間的に設置することで測定した。また、堆積物中の有機物を簡易に推定するために400度で燃焼させ秤量した。浮遊している土砂が水中で十分に混合している場合には、土砂供給源から自然対数関数に近似される堆積状況となる(Furukawa et.al. 1997)ことを利用して堆積状況を推測した。侵食速度は、海側の林分境界において濁度・水位を時間的に密(1分毎)に計測することで土砂の出入りを観測し、そこから堆積量を差し引くことで、侵食量を推算した。
特性の異なる観測地における結果から、堆積と同程度の侵食が発生している可能性が示された。なお、更なる検討のためには、1) 浸水・干出前後のシートフロー状の流れによる土砂輸送機構の解明、2) 潮汐の大小による輸送過程の変化、3) クリークなどによる輸送の評価などが必要であることが分かった。
本研究は、マングローブ林における群落レベルでの海面上昇影響の実態把握の一部として実施されたものである。