16:00 〜 16:15
[HCG34-03] 土壌分画別セシウム吸収による作物毎の違い
キーワード:放射性セシウム、土壌分画、ダイズ
福島第一原子力発電所事故に伴い広範囲に放射性セシウム(137Cs)が降下した.137Csの土壌中での存在形態には,作物が吸収利用しやすいと考えられている土壌分画(イオン交換態や有機物に吸着,f1分画と定義) と,作物が吸収利用しにくいと考えられる土壌分画(強酸抽出とフッ化水素酸による全分解成分,f2分画と定義)がある.どの土壌分画からどれだけ137Csを吸収するかが分かれば,作物のCs吸収特性を把握することができる.しかし,これまで土壌分画ごとの137Cs吸収量を示す手法の研究報告はない.そこで本研究では,作物の137Csを吸収する土壌分画を把握するために,天然に存在する安定同位体セシウム(133Cs)も調査することにより,各土壌分画からの移行係数(TFf1とTFf2と定義)を求めることで,作物中の各土壌分画由来の吸収割合(λ1とλ2と定義)と濃度を求めた.
ダイズ,ソバ,イネの3品目を,福島県水田土壌の除染による表土剥ぎによって得られた汚染土壌(137Cs約22 kBq/kg,133Cs約3.4 mg/kg)を用いてポットで30日間栽培し,地上部の133Csと137Cs濃度を測定した.栽培後の土壌を逐次抽出(酢酸アンモニウム抽出,過酸化水素分解,硝酸分解,フッ化水素酸による全分解)し,各土壌分画に含まれる133Csと137Cs濃度を測定した.計算の簡素化のため,土壌分画はf1(酢酸アンモニウム抽出,過酸化水素分解)とf2(硝酸分解,フッ化水素酸による全分解)の2分画に設定した.133Csの測定は,ICP質量分析装置(パーキンエルマー, NexION350S),137Csの測定はNaIシンチレーションカウンター(パーキンエルマー,Wizard)によって測定した.作物が吸収した各土壌分画量の判断は, 133Cf1×TFf1+133Cf2×TFf2 = 133C作物, 137Cf1×TFf1+137Cf2×TFf2 = 137C作物 によって算出した.ここでCf1またはCf2 はf1分画またはf2分画に存在する土壌のCs濃度,TFf1またはTFf2はf1分画またはf2分画土壌から作物へのCs移行係数,C作物は作物のCs濃度を示す.
作物によってTFf1とTFf2は異なり,ダイズはf2分画からの吸収がソバよりも高かった.作物の137Cs吸収のうちf1分画からは,ダイズは66 %,ソバは89 %,イネは76 %となり作物間差が確認された.さらに,カリウム施肥によるCs吸収抑制効果が,作物によって異なることが示された.また,作物の吸収特性を知る指標として137Cs/133Cs比を考案し,作物中の137Csと133Csを測定するだけで作物間の吸収能力差を判定した.これら各指標を考案・定義することで,作物の吸収能力を把握することを可能とした.
ダイズ,ソバ,イネの3品目を,福島県水田土壌の除染による表土剥ぎによって得られた汚染土壌(137Cs約22 kBq/kg,133Cs約3.4 mg/kg)を用いてポットで30日間栽培し,地上部の133Csと137Cs濃度を測定した.栽培後の土壌を逐次抽出(酢酸アンモニウム抽出,過酸化水素分解,硝酸分解,フッ化水素酸による全分解)し,各土壌分画に含まれる133Csと137Cs濃度を測定した.計算の簡素化のため,土壌分画はf1(酢酸アンモニウム抽出,過酸化水素分解)とf2(硝酸分解,フッ化水素酸による全分解)の2分画に設定した.133Csの測定は,ICP質量分析装置(パーキンエルマー, NexION350S),137Csの測定はNaIシンチレーションカウンター(パーキンエルマー,Wizard)によって測定した.作物が吸収した各土壌分画量の判断は, 133Cf1×TFf1+133Cf2×TFf2 = 133C作物, 137Cf1×TFf1+137Cf2×TFf2 = 137C作物 によって算出した.ここでCf1またはCf2 はf1分画またはf2分画に存在する土壌のCs濃度,TFf1またはTFf2はf1分画またはf2分画土壌から作物へのCs移行係数,C作物は作物のCs濃度を示す.
作物によってTFf1とTFf2は異なり,ダイズはf2分画からの吸収がソバよりも高かった.作物の137Cs吸収のうちf1分画からは,ダイズは66 %,ソバは89 %,イネは76 %となり作物間差が確認された.さらに,カリウム施肥によるCs吸収抑制効果が,作物によって異なることが示された.また,作物の吸収特性を知る指標として137Cs/133Cs比を考案し,作物中の137Csと133Csを測定するだけで作物間の吸収能力差を判定した.これら各指標を考案・定義することで,作物の吸収能力を把握することを可能とした.