日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 地すべりおよび関連現象

2019年5月28日(火) 13:45 〜 15:15 304 (3F)

コンビーナ:千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、王 功輝(京都大学防災研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)、座長:今泉 文寿千木良 雅弘

13:45 〜 14:15

[HDS09-10] Initiation conditions of debris flows in Ohsawa landslide, Mt. Fuji

★Invited Papers

*今泉 文寿1山本 一樹1池田 敦4逢坂 興宏1杉本 宏之2鈴木 聡2佐藤 慎一2柏原 佳明3西村 直記3 (1.静岡大学農学部、2.国土交通省富士砂防事務所、3.アジア航測、4.筑波大学生命環境系)

キーワード:土石流、崩壊、富士山、凍土

土石流の発生は一般に降雨条件のみによって説明されることが多い。しかしながら,地盤が凍結する時期においては地盤の浸透性の低下が考えられ,それに伴い土石流の発生条件が変化する可能性がある。加えて積雪の有無や不安定土砂の堆積量も,土石流の発生条件に影響を及ぼす要因である。そこで,土石流頻発渓流であり,かつ高標高域であるために地盤の凍結期間が長い富士山大沢崩れにおいて,地盤の凍結および不安定土砂の堆積量が土石流の発生条件に及ぼす影響を検討した。また,あわせて富士山大沢崩れにおいて特徴的な現象であり,積雪時に確認されるスラッシュ雪崩の発生条件についても検討した。本研究では,過去の土石流発生降雨,非発生降雨それぞれにおいて,積雪の有無と凍結の有無の推定を試みた。積雪の有無はdegree-day法を用いて推定し,凍結の進行を積算寒度により,融解の進行を積算暖度により推定した。そして,地盤の凍結の有無,積雪・降雪の有無,不安定土砂の堆積量の大小に応じて過去約50年間の降雨を整理し,土石流の発生条件を求めた。その結果,地盤が凍結すると少ない降雨で,土石流・スラッシュ雪崩が発生することがわかった。また,地盤の非凍結時には不安定土砂量が多いほど,土石流が発生しづらいことがわかった。一方,積雪・降雪の有無による土石流やスラッシュ雪崩の発生条件の違いは明確でなかった。