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[HDS10-17] スリランカ国ラトゥナプラ市における洪水リスク分析
キーワード:洪水災害、頻度解析、土地利用変化、復旧復興、スリランカ
本論文では2017年5月にスリランカで発生した洪水を対象に、洪水常襲地における災害リスクを明らかにする。まず、ケースとして山間部ラトゥナプラ市の125年間の年間最大降雨量をもとに、頻度解析を用いて2017年の洪水イベントの発生可能性を評価する。また、 人工衛星画像を用いた同地域における洪水災害前後の土地利用を解析する。そして、筆者は現地住民や地方行政に対して災害エスノグラフィを用いたインタビュー調査を行い、洪水被害の状況とどのように洪水に対処したのかを把握した。インタビューの結果から、現地住民は自らの経験や知識を使ったが、今回のような甚大な洪水が起きた際には上手く対応できず、多方面において悪影響を及ぼしたことが伺えた。加えて、国連機関や政府、非営利団体などの外部団体からの支援が十分でなく、住民のニーズや脆弱性をカバーできるものではなかった。また、政府による住宅と整形の被害調査に遅れが生じ、政府からの補償金や物資の調達が遅延したこともわかった。これらの結果はスリランカにおける洪水の減災や復旧プロセスの理解に役立つことが期待される。