日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS13] 津波とその予測

2019年5月28日(火) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:近貞 直孝(防災科学技術研究所)、対馬 弘晃(気象庁)、久保田 達矢(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

[HDS13-P15] 2011年東北地方太平洋沖地震における鉄道構造物を対象とした津波被害関数の構築

*大野 哲平1津野 靖士2佐藤 祐子2是永 眞理子1 (1.伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、2.鉄道総合技術研究所)

キーワード:津波被害関数、東北地方太平洋沖地震、鉄道構造物

2011年東北地方太平洋沖地震に伴う大津波は東北地方沿岸の鉄道構造物に甚大な被害を与えた。鉄道構造物の将来的な津波に対するリスクを把握するためには、これらの被災データから津波被害関数を構築することが有効である。被害関数は対数正規分布・正規分布で表されるのが一般的である。本研究では、2011年東北地方太平洋沖地震に伴う鉄道構造物の被害データおよび浸水深をGIS上で統合することにより津波被害関数を構築した。なお、津波被害関数の構築手法は越村ら(2009)を参考にした。
 本研究では、複数の文献から東北地方太平洋沿岸に位置する鉄道構造物の位置データおよび被害データを収集した。まず、鉄道構造物が位置する津波の浸水深を算出するために、国土交通省都市局・復興支援調査アーカイブで公開されている100m×100mメッシュの2011年東北地方太平洋沖地震の浸水深データを利用した。次に、鉄道構造物の位置を算出するために、国土交通省の国土数値情報の鉄道データおよび国土地理院の基盤地図情報を利用した。鉄道構造物の種類は、駅、橋りょう、トンネル、踏切、路盤、擁壁、函渠、盛土、切土など多岐にわたる。また、鉄道構造物の構造種別も、土、C造、RC造など多様である。構造種別の影響を考慮するために、全被害データを用いた場合と構造種別をRCに限定した場合で津波被害関数を作成した。
 その結果、多種多様な鉄道構造物を一律に評価しているため、越村・郷右(2012)で示されている2011年東北地方太平洋沖地震における建物に対する津波被害関数と比較して、勾配が小さくなる傾向が示された。さらに、作成した津波被害関数の再現性を確認するために、宮城県石巻と岩手県島越を対象として、内閣府モデル(2011年東北地方太平洋沖地震再現モデル)の浸水深分布から鉄道構造物の津波損傷確率を示した。

謝辞:本テーマは、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。