日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS13] 津波とその予測

2019年5月28日(火) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:近貞 直孝(防災科学技術研究所)、対馬 弘晃(気象庁)、久保田 達矢(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

[HDS13-P16] 東日本大震災における宮城県市町村での死因の特徴

*門廻 充侍1今村 文彦1 (1.東北大学 災害科学国際研所)

キーワード:東北地方太平洋沖地震津波、災害科学

2011年3月11日に発生した東日本大震災によって,死者15,897人,行方不明者2,534人の人的被害が発生した(警察庁,2012).警察庁(2012)の報告によれば,東北3県における犠牲者の死因は,津波に関連する溺死が90%であった.青木ら(2012)は,実際に死体検案業務に従事した医師に対するアンケート結果を報告した.その中で,「90%が溺水という死因統計について,回答者の2/3弱が妥当と回答した」という結果を示す一方で,「現実の問題として溺水と記載せざるを得ない」,「3月派遣者の回答においても,23%が(溺水が妥当か)わからない,5%が無回答であったことがこの問題の扱いの難しさを示している」という見解が示された.これは,津波災害における多様な死因の可能性を示唆している.生存者(河北新報,2011)から,溺死にまで至らなかった場合でも低体温症により死亡したと考えられる事例が報告されている.このように,溺水以外にも致死に関係する可能性が示されており,今後の津波対策においても,これらを考慮した対策が求められている.

門廻・今村(2019)は,宮城県警察本部から提供された震災データ(犠牲者情報)を用いて,東日本大震災における宮城県での死因を分析した.東日本大震災時の検案状況を踏まえ検討した結果,頭部の損傷,頸部の損傷,胸部の損傷,外傷性ショック,詳細不明の多発性損傷,窒息,溺死,焼死,低体温症,心疾患,その他,不詳の12種に分類できる事を示した.また,宮城県における各死因の割合を明らかにした.東日本大震災における人的被害をより詳細に明らかにするためにも,上記12種を考慮した各市町村の死因の特徴を明らかにする必要がある.

本研究では,宮城県警察本部から提供された震災データ内の位置情報を用いた分析を実施した.提供データ内には,犠牲者の位置情報として,登録住所と遺体発見場所の2つの情報がある.そこで,各位置情報と上記12種の死因を組み合わせ,宮城県市町村における各死因の特徴を明らかにした.