日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM04] 地形

2019年5月29日(水) 09:00 〜 10:30 101 (1F)

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)、座長:八反地 剛

10:00 〜 10:15

[HGM04-05] 斜面の洪水流出・崩壊発生の統合的予測に向けた鉛直不飽和浸透流の特性解析

*谷 誠1松四 雄騎2佐山 敬洋2小島 永裕3 (1.人間環境大学、2.京都大学防災研究所、3.滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)

キーワード:洪水・崩壊の統合的予測、斜面水文学、鉛直不飽和浸透流、土層発達

斜面水文学の研究は、豪雨時にも地表面流ではなく地中流が主たる流出機構であることを明らかにし、砂防学は、積算降雨が大きくなった後の強雨時に表層崩壊が発生することを経験的に見いだしてきた。こうした知見をふまえ、ある降雨条件を下回るときには洪水流出を産み出すが、その条件を上回るときには崩壊を発生させること、つまり両者が同一の流出機構のthresholdで仕分けされる点を矛盾なく説明する必要がある。これに関して、斜面土層内の鉛直不飽和浸透流が圧力水頭の伝播を通じて降雨から一時的地下水面への応答を主に制御すること、斜面方向の流れはその水面の応答を河川流出にむしろあまり変化なく伝達することが、最近の研究からわかってきた。そこで本研究では、なぜ鉛直不飽和浸透流が大規模降雨時の流出応答を創り出せるのかを検討し、今後の洪水・崩壊の統合的予測に対する研究方向性を提供する。