[HGM04-P12] 日本列島における海成段丘と海底段丘の分布の比較
キーワード:海底地形、海底段丘、海成段丘、地層処分
地層処分の信頼性向上に向けた技術開発課題の一つに、海域を含めた沿岸部付近における隆起・侵食に係る調査・評価技術の高度化がある。この課題の解決に向けた方法の一つとして、現在の陸域だけでなく、氷期に広く陸化すると考えられる大陸棚において地殻変動と侵食の指標となる地形の分布やその特徴から隆起・侵食量を推定することが考えられる。
大陸棚にみられる段丘地形、いわゆる海底段丘は氷河性海水準変動に伴う侵食・堆積により形成され、現在は海面下に分布している地形であると考えられている。このことを前提とすると、海底において隆起・沈降が生じている場合、その痕跡は連続した海底段丘の深度分布パターンにあらわれることが予想される。本研究では、そのような仮説を検証することを目的として、海底段丘とMIS 5eの海成段丘を投影断面図上に示し、両者の高度分布パターンの比較を行った。事例対象としたのは、オホーツク海沿岸、石狩湾~積丹半島、北海道南西岸~男鹿半島、津軽海峡(北海道側)、三陸、房総半島東部、土佐湾北東岸の7地域である。これらの地域における海底段丘とMIS 5eの海成段丘の投影断面図から読み取れた結果の要点を記す。
・海成段丘の高度と海底段丘群や大陸棚外縁の深度変化の傾向が調和的にみえる海域が存在する。注目すべきは、そのような海域の中には、海成段丘の高度変化の傾きに対して大陸棚外縁とそれ以浅の海底段丘の深度変化の傾きが小さく、逆に大陸棚外縁以深では海底段丘の傾きが同等か大きくなるケースがみられたことである。
・陸域の活断層ないしは推定活断層の海域延長部を境に海底段丘群の深度に変化がみられるケースが存在した。
これらのことは、海底段丘の深度分布の中に地殻変動を反映したものが含まれていることを示していると考えられる。それゆえ、海底段丘の発達史の理解が、海域における地殻変動様式の把握において重要である。海底段丘の発達史の理解に向けて、海底段丘の成因を音波探査記録等から把握すること、また海外の研究事例のように海底段丘から絶対年代試料を採取し、その形成年代を明らかにすることが望まれる。
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成30年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(沿岸部処分システム高度化開発)」の成果の一部である。
大陸棚にみられる段丘地形、いわゆる海底段丘は氷河性海水準変動に伴う侵食・堆積により形成され、現在は海面下に分布している地形であると考えられている。このことを前提とすると、海底において隆起・沈降が生じている場合、その痕跡は連続した海底段丘の深度分布パターンにあらわれることが予想される。本研究では、そのような仮説を検証することを目的として、海底段丘とMIS 5eの海成段丘を投影断面図上に示し、両者の高度分布パターンの比較を行った。事例対象としたのは、オホーツク海沿岸、石狩湾~積丹半島、北海道南西岸~男鹿半島、津軽海峡(北海道側)、三陸、房総半島東部、土佐湾北東岸の7地域である。これらの地域における海底段丘とMIS 5eの海成段丘の投影断面図から読み取れた結果の要点を記す。
・海成段丘の高度と海底段丘群や大陸棚外縁の深度変化の傾向が調和的にみえる海域が存在する。注目すべきは、そのような海域の中には、海成段丘の高度変化の傾きに対して大陸棚外縁とそれ以浅の海底段丘の深度変化の傾きが小さく、逆に大陸棚外縁以深では海底段丘の傾きが同等か大きくなるケースがみられたことである。
・陸域の活断層ないしは推定活断層の海域延長部を境に海底段丘群の深度に変化がみられるケースが存在した。
これらのことは、海底段丘の深度分布の中に地殻変動を反映したものが含まれていることを示していると考えられる。それゆえ、海底段丘の発達史の理解が、海域における地殻変動様式の把握において重要である。海底段丘の発達史の理解に向けて、海底段丘の成因を音波探査記録等から把握すること、また海外の研究事例のように海底段丘から絶対年代試料を採取し、その形成年代を明らかにすることが望まれる。
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成30年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(沿岸部処分システム高度化開発)」の成果の一部である。