日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC07] 地球温暖化防止と地学(CO2地中貯留・有効利用、地球工学)

2019年5月29日(水) 09:00 〜 10:30 301B (3F)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、座長:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所)

09:00 〜 09:15

[HSC07-01] 二酸化炭素圧入時の海洋潮汐荷重に対する間隙圧応答変化の数値解析

*赤木 俊文1山本 肇1 (1.大成建設株式会社)

キーワード:海洋潮汐、二酸化炭素地中貯留、数値解析

地球温暖化に対する有望な対策として,CCS(Carbon dioxide capture and storage)がここ数十年にわたって広く研究されており,複数の大規模プロジェクトが世界中で進行している.二酸化炭素は,石炭火力発電所などから排出される排ガスから補足し,深部貯留層に圧入され長期間貯留される.CO2地中貯留では,圧入されたCO2の安価で信頼性の高いモニタリング手法が必要とされている.間隙水圧が地球潮汐および海洋潮汐の影響を受けることはよく知られている.近年,長岡と苫小牧のCO2地中貯留プロジェクトにおいて,測定された間隙圧変動における潮汐成分が二酸化炭素到達後に減衰したことが報告されている.この間隙圧力の応答は水とCO2を含む多孔質弾性体の流体-地盤力学連成挙動によって良く説明され,潮汐に対する間隙圧応答を利用したCO2モニタリング手法の可能性が示された.しかし,CO2圧入時の圧力変動は、観測井とCO2プルームの距離,CO2プルームの形状,圧力拡散など,多くの諸条件に影響される可能性があるため,CO2圧入時における潮汐に対する圧力応答をより定量的に評価するためには数値計算が必要となる.本研究では,多孔質弾性論に基づく水-CO2二相流条件下における流体-力学連成解析により,海洋潮汐を想定して,二酸化炭素圧入時の圧入井地点における,潮汐に対する間隙圧応答をシミュレートした.間隙圧応答の振幅はCO2圧入中に減衰し,圧入終了後は浮力によるCO2プルームの上昇に伴って振幅が増加した.最終的には貯留層上部のCO2プルームの影響を受けて,初期の間隙圧応答に比べてやや小さな振幅を示した.