日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT19] Geographic Information Systems and Cartography

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 301B (3F)

コンビーナ:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、村山 祐司(筑波大学大学院生命環境科学研究科地球環境科学専攻)、若林 芳樹(首都大学東京大学院都市環境科学研究科)、座長:小口 高山田 育穂(中央大学)

16:45 〜 17:00

[HTT19-12] スバールバル・ニーオーレスン地域における地形調査とマッピング手法の改善

*李 在庸1小口 高2 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻、2.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:ニーオーレスン、凍土層、超高解像度マップピング

スバールバル諸島のニーオーレスンには凍土層が広範囲に分布しており、夏季にのみ融解する活動層と、常時凍結している不透水性の永久凍土層で構成されている。このような垂直構造は、表層の環境のみならず地下水の分布にも影響を与えている。また、反復的な凍結・融解により形成される構造土と植生の分布なども含めて、極地に固有の生態系の基盤となっている。最近、温暖化により活動層が拡大して流水が増加しているため、植生や斜面の物質移動などの表層環境が変化している。このような凍土層と表層環境の変化の定量的な把握のために、ニーオーレスン地域の高解像度のマッピングに関する技術的検討を行った。極地における現地調査には、調査可能な範囲や日程上の制約があるため、過去の現地調査の資料、衛星・航空画像、及びGISデータも活用して地形分析の妥当性を調べた。

 2017年の現地調査の際に訪れたニーオーレスン科学基地村の周辺地域を対象に、ノルウェー極地研究所のDEMを利用して傾斜度、斜面方向、曲率、日射量、高度などの地形量を算出した。また、夏季に撮影されたTopoSvalbard衛星の画像と航空写真の判読を通じて、地形量の分析の妥当性を検討した。さらに、地上で撮影された写真を用いて衛星・航空画像からは判読不可能な表層環境を記載し、SfM-MVS手法を用いた高解像度の写真測量も活用して地形図を作成した。無線周波数の利用に法的制約のあるニーオーレスンでは、UAVの使用が制限されるため、スタビライザー機能を持つポールカメラを製作した。改善されたポールカメラで得られる写真の解像度は3 mm前後である。これは狭い地域における超高解像度マップピングの有用な手法になると期待される。