日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT23] 地理情報システムと地図・空間表現

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)

[HTT23-P02] 情報を正確に伝達するためのハザードマップの検討および試作

*遠藤 涼1中埜 貴元1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:ハザードマップ、ユニバーサルデザイン、配色

防災対策や災害発生時の避難などに活用するために、各地方自治体でハザードマップが作成・公表されている。ハザードマップの地図表現には色彩が多用されている。しかしながら、情報過多や色の混在によって視認性が低下するケースが散見される。本報告では、ハザードマップの情報の正確かつ理解度を向上させることを目指し、以下の事項を考慮したハザードマップの作成を試みた。なお、試作したハザードマップは、紙媒体の液状化のハザードマップである。

1.背景地図
 ハザードマップの背景地図として、都市計画図や地形図などが使用されているものが多い。しかしながら、これらの背景図の中には、地図のスキャンに起因すると考えられる低解像度のものが含まれており、判読が困難になっている。背景図の可読性を確保するため、ベクトルデータを用いて作成した。

2.ハザードマップに掲載する情報
 ハザードマップに記載されている事項として、防災関係機関(役所・消防・警察)、避難経路・避難所、病院などがあるが、情報過多による視認性低下を防ぐため、①ハザードの危険度毎の領域に関する情報、②避難に関する情報を中心に、項目を絞った。

3.配色
 ハザードマップでは、災害危険度をはじめ地図表現に多くの色が使用されている。しかしながら、色覚の特性には個人差があり、全ての人が同じように色を認識するわけではない。たとえば、男性の約5%、女性の約0.2%が赤と緑の区別がつきにくい色覚特性を持つことが指摘されている(たとえば、伊藤(2012))。そこで、災害危険度の表現を中心に赤と緑の組み合わせを避ける、明度や彩度などに注意してハザードマップを試作した。色覚異常の人々が、試作したハザードマップの情報を適切に読み取れるかどうか、Adobe photoshop CC 2018で作成したシミュレーション画像を用いて確認した。

【参考文献】
伊藤啓 (2012) カラーユニバーサルデザイン 色覚バリアフリーを目指して, 情報管理, 55, 5, 307-317.