[HTT23-P04] 阿武隈山地における航空レーザデータを用いた森林三次元構造の把握について
キーワード:航空レーザデータ、森林三次元構造、花崗岩、阿武隈山地
花崗岩地域では表層崩壊である斜面崩壊が多く起こっている。表層崩壊に対しては樹木根系による崩壊抵抗力が期待されている。しかし、根系発達の研究を行うためには根を掘り出す必要があるため、根系の研究はあまりなされていない。阿武隈山地南部の伐採地で根系データを収集したところ、切株の直径と根の横幅、根の深さにはある程度相関があるという結果が出た。一方、岡谷ほか(2013)では、航空レーザ計測(LiDAR)データにより森林の3次元構造を把握する手法が検討されており、樹高、本数、胸高直径を推定できる可能性が示唆されている。そこで、花崗岩地域である阿武隈山地における樹木根系のデータを用いて花崗岩風化と根系発達の関係を調べると共に、LiDARを用いて推定した樹木データの有用性を検討した。
福島県矢大臣山西麓の伐採地で現地調査を行い、樹種、切株の直径、根の深さ、根の横幅、風化層、地形(斜面方位、斜面上下、斜面型など)についてデータを収集した。一方、航空レーザ測量(LiDAR)データの有用性を検討するために同地域の伐採前のLiDARデータから樹木データを取得した。この際、方形区(10m×20m)を斜面型の違いで設置して毎木調査を行い、切株の位置・本数・断面積和を調査し、LiDARデータと比較した。断面積和に関するLiDARデータとして透過率(グラウンドデータ/オリジナルデータ)を用いた。また樹高に関しても、伐採地近隣の樹林帯を利用して樹木の位置、樹高、胸高直径を測定し比較した。
今回の調査で、切株の直径と根の横幅、根の深さには正の相関が見られ、有機物含有層厚が薄いほど根の横幅が大きい傾向が確認できた。LiDARデータと現地のデータを2つの方形区で比較すると、5m×5mの小範囲では本数と胸高直径断面積和に関してほとんど合っていなかったが、2つの方形区で比べると現地調査結果で本数の多い方形区でLiDARデータによる抽出でも本数が多く、断面積和と透過率は逆相関の関係となり、傾向が一致した。樹高に関しては10本のうち7本が1m以内の誤差で求められた。樹高と胸高直径について散布図を作成したところ強い相関を見ることができた。
現地調査で根の横幅や深さと切株の直径について相関が、樹高と胸高直径に強い正の相関が見られたことから、航空レーザデータによって広範囲で樹高が推定できれば根系の発達状況も推定でき,、広範囲で斜面崩壊危険度を容易に推定できる可能性が示唆された。
福島県矢大臣山西麓の伐採地で現地調査を行い、樹種、切株の直径、根の深さ、根の横幅、風化層、地形(斜面方位、斜面上下、斜面型など)についてデータを収集した。一方、航空レーザ測量(LiDAR)データの有用性を検討するために同地域の伐採前のLiDARデータから樹木データを取得した。この際、方形区(10m×20m)を斜面型の違いで設置して毎木調査を行い、切株の位置・本数・断面積和を調査し、LiDARデータと比較した。断面積和に関するLiDARデータとして透過率(グラウンドデータ/オリジナルデータ)を用いた。また樹高に関しても、伐採地近隣の樹林帯を利用して樹木の位置、樹高、胸高直径を測定し比較した。
今回の調査で、切株の直径と根の横幅、根の深さには正の相関が見られ、有機物含有層厚が薄いほど根の横幅が大きい傾向が確認できた。LiDARデータと現地のデータを2つの方形区で比較すると、5m×5mの小範囲では本数と胸高直径断面積和に関してほとんど合っていなかったが、2つの方形区で比べると現地調査結果で本数の多い方形区でLiDARデータによる抽出でも本数が多く、断面積和と透過率は逆相関の関係となり、傾向が一致した。樹高に関しては10本のうち7本が1m以内の誤差で求められた。樹高と胸高直径について散布図を作成したところ強い相関を見ることができた。
現地調査で根の横幅や深さと切株の直径について相関が、樹高と胸高直径に強い正の相関が見られたことから、航空レーザデータによって広範囲で樹高が推定できれば根系の発達状況も推定でき,、広範囲で斜面崩壊危険度を容易に推定できる可能性が示唆された。