日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI37] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 301B (3F)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、座長:本田 理恵村田 健史(情報通信研究機構)

16:45 〜 17:00

[MGI37-11] 地すべり分野における斜面の危険度評価の取り組み

*林 一成1若井 明彦2佐藤 剛3木村 誇4村田 健史5渡邉 暁乃2 (1.奥山ボーリング株式会社、2.群馬大学、3.帝京平成大学、4.防災科学技術研究所、5.情報通信研究機構)

キーワード:地すべり、斜面、豪雨、地震、災害、危険度評価

本発表では,斜面のリスク評価に必要な地すべり危険度評価手法の現状や取り組みについて事例を紹介したい.斜面災害の発生様式は,地質・地形的な素因によってコントロールされる.例えば,未固結な火山噴出物からなる斜面では,表層崩壊や流動性の高い地すべりが発生する。また,層理面の連続性に富んだ堆積岩地域では,流れ盤斜面における大規模な並進すべりや,急崖をなす受け盤斜面において表層崩壊が発生し易い.すなわち,地すべりの危険度評価に用いられる要因データやその重みづけは,地域の地質・地形条件を背景とした地すべりの発生様式に対応したものとなる.一方で,実効雨量や土壌雨量指数といった雨量指標が土砂災害警戒情報の発表に利用されているが,地域の地質・地形条件を十分に考慮したものではない.このため,評価単位としての空間分解能は5km四方にとどまっており,斜面単位での地すべり危険度評価や危険領域の区分には課題が残されている.また,複雑な地質構造や地下水文条件を背景として発生するすべり面の深い大規模な地すべりの評価は一般には困難である.

本発表では,地質・地形条件を考慮した斜面の危険度評価手法の検討事例として,(公社)日本地すべり学会によるAHP法を用いた地すべり地形の危険度評価,地震時の地すべり危険度評価,および火山地域における豪雨時の斜面崩壊の危険度評価手法の開発,また,最新の取り組みとして,斜面浅部の地下水位上昇量の簡易予測式による評価手法などを紹介したい.