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[MIS08-01] 日本最西端沖縄県与那国島に分布する正断層群
キーワード:背弧海盆、正断層、沖縄トラフ、第四紀、琉球弧
沖縄県与那国島は日本最西端に位置する島で,琉球弧に属する.与那国島では,新第三系八重山層群と第四系琉球層群が露出しており,島をひし形状に分断するように正断層が多く発達している.島の南東部のサンニヌ台で認められる断層露頭では,正断層の断層中軸部(断層ガウジ),ダメージゾーン ,健岩部分,と断層帯を構成する要素を全て観察することができる.野外調査の結果,サンニヌ台で認められる断層は,(1)沖縄トラフ(背弧海盆)内と類似した応力場で運動可能であることから,与那国島は南琉球弧島嶼域(例えば,宮古島や石垣島)とは力学的な場が異なること,(2)断層破砕帯の幅と断層の長さ,総変位量と断層コアの幅の関係は一般的な断層と同様の傾向であり,この断層は第四紀中に繰り返し運動していること,などが明らかとなった.これらの成果を踏まえると,与那国島の形成に大きく関係すると考えられる沖縄トラフの拡大に関連して,「地殻変動の激しさや大規模地殻変動を知ることができる地質学的資料(ジオサイト)」として,サンニヌ台で認められる断層は日本全国を代表する適地の可能性がある.これらの調査は未指定文化財の調査であり,与那国町は将来的に国の天然記念物にむけた申請を行う予定である.