日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 生物地球化学

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)

[MIS13-P01] 有機物分解指標に関係する生体分子組成変化と生化学的プロセス

*保原 達1小川 浩史2 (1.酪農学園大学、2.東京大学)

キーワード:分解指標、アミノ酸、陸と海、アミノ糖

地球表層の優占的な炭素の形態は分解の進んだ有機物であり、これらは生物のエネルギーや栄養分の重要な給源となっている。こうした分解の進んだ有機物の生物利用可能性は、その化学組成によって著しく制御される。陸域や海洋環境において行われてきた多くの研究によって、分解過程において、有機物の化学組成の中でも特に生体分子組成に様々な特徴的変化が見られることが明らかとなってきた。しかしながら、そうした生体分子変化の規則性やそれを導く要因については不明な点が多い。また、分解段階を表す有用な指標の特徴の違いも議論が不足している。そこで本研究では、分解の進んだ有機物の生体分子に基づいた解析手法のレビューや比較を行うとともに、より簡便で有用な指標の開発に取り組んだ。その結果、分解有機物中の一部の一般的によく測定されるアミノ酸において、分解段階に従っての一方向的な増減が見られ、それが短期ー長期、陸域ー海洋を問わず、すなわち時空間の違いによらず生じている可能性が示唆された。アミノ酸の中でも分解において増加するものと減少するものを調べてゆくことにより、これまであまり議論されてこなかった分解の背景において生じている様々な生化学的プロセスが示唆されたので、その結果などについて報告する。