日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2019年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールB (2F)

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、植村 立(琉球大学 理学部)、真壁 竜介(国立極地研究所)、座長:石輪 健樹(国立極地研究所)

14:45 〜 15:00

[MIS14-16] 2018/2019 夏季豪州南極海盆南部の海洋・物質循環 ― 開洋丸 KY18-04 航海速報

*勝又 勝郎1平野 大輔2野村 大樹2山崎 開平2國府 陽一郎2木内 政彰2青木 茂2村瀬 弘人3 (1.海洋研究開発機構、2.北海道大学、3.国際水産資源研究所)

キーワード:陸棚循環、深層水形成、炭素循環

豪州南極海盆はロス海・アデリー沖などで形成された底層水が南極沿岸流に沿って流入し、それを変質させて太平洋・インド洋の南極底層水循環の起点となる海盆である。近年観測されている南極底層水の体積減少・低塩化と大気・海氷と海洋の間の相互作用を結び付けるためには豪州南極海盆の循環がどのように変化しているのか知る必要がある。南大洋はおもに環海流北部で中層水・モード水への人為起源二酸化炭素を送り込む入り口として知られているが、環海流南部で底層水にどれほど炭素を送り込んでいるのか、あるいは炭素の多い深層水の湧昇を通じて大気に炭素を放出しているのかという質問に答えるためにはやはり豪州南極海盆の炭素循環を知る必要がある。またこれらの海洋・物質循環の変化はそこに生息する生物および生態系にどのような変化を与えているのかといった問題に取り組むうえで、生態系調査との同時観測が極めて有益である。
水産庁調査船開洋丸は 2018 年 12 月から 2019 年 3 月まで豪州南極海盆南部の海氷縁付近で海洋・物質循環および生態系に関する総合現地調査を行った。この海域は 1996 年に豪州によって観測されている。要旨執筆時点で 40 を超える CTD・LADCP・採水観測が行われている。また 80 を越える上層 1000 m までの XCTD 観測が行われている。予備的な解析では南極底層水の変化が観測されている。下図には前半 Leg 1 (2018 年 12 月 5 日から 2019 年 1 月 16 日)の CTD・LADCP・採水 (黒丸) XCTD 点(バツ)を示す。人工衛星搭載センサ AMSR2 から推定された海氷密接度は緯度 90 度以西は 2018 年 12 月 17 日、緯度 90 度から 107 度は同年同月 24 日、緯度 107 度以東は同年同月 31 日のデータを組み合わせて表示した。本発表では調査結果の概要を紹介するとともに今後の研究展開を展望する。