日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、植村 立(琉球大学 理学部)、真壁 竜介(国立極地研究所)

[MIS14-P03] 南大洋生態系研究への環境DNAの導入

*立花 愛子1真壁 竜介2茂木 正人1 (1.東京海洋大学、2.国立極地研究所)

キーワード:環境DNA、南大洋、生物多様性

生物の群集構造および多様性のモニタリングは、地球規模の気候変動に対する南極の海洋生態系変動への影響を理解するために不可欠である。従来のバイオモニタリング手法は、対象生物に応じた様々なサンプリング法と形態学に基づく同定を基に行われており、時間やコストだけでなく高度な専門知識を要してきた。今後、急速に変化する気候変動に対し、南大洋生態系へ及ぼす影響を明らかにするためには、生物群集の時空間的変動を迅速に理解するための効率的かつ効果的なツールが必要であると考えられる。環境DNA - 生物によって土、堆積物、水などの環境サンプルに落とされた細胞や組織から抽出されたゲノム物質 - は海洋の生物多様性と群集組成を迅速に評価することが可能なツールとして近年注目されている。本研究では、南大洋生態系研究の新たなモニタリングツールとして環境DNAを導入し、より高度な解像度での生物多様性と群集構造の把握を目指した。環境DNAの採集は2019年1月の東京海洋大学の練習船「海鷹丸」による南大洋航海において、東南極ウィルクスランド沖の110°E上にて行った。採水は40~65°Sの表層から深層の各層において行われ、計189サンプル得た。これらのサンプルからDNAベースの生物多様性データを作成し、南洋における後生動物の遺伝的多様性の包括的な分析を行う。本発表ではeDNA観測の概要と予備実験の結果を示すと共に、今後の分析計画についても議論する。