日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、植村 立(琉球大学 理学部)、真壁 竜介(国立極地研究所)

[MIS14-P12] MIS M2からの温暖化過程におけるRoss海から産出した珪藻化石群集の変化

*石野 沙季1須藤 斎2McKay Rob3De Santis Laura4Kluhanek Denise5IODP Exp. 374乗船研究者 一同 (1.産業技術総合研究所、2.名古屋大学環境学研究科、3.Victoria University、4.Instituto Nazionale di Oceanografia e di Geofisica Sperimentale、5.Texas A&M University)

キーワード:珪藻、南大洋、古環境

過去の温暖化過程において極域の環境にどのような変化が起きていたのかという古環境学的情報は,温暖化の将来予測を飛躍させる上で欠かせない.特に復元される南極の高緯度域の海洋環境は,marine based ice sheetの融解量の推測に影響するため,西南極氷床の変動史を解明する上で重要となる.南極海には珪質な殻を持つ珪藻の化石が多く保存されており,珪藻化石群集の解析から,過去の海氷被覆域や鉛直混合の強さなどの海洋環境を推定することができる.

国際深海科学掘削計画(IODP)Exp. 374では2018年1月から3月にかけてRoss海東部の大陸棚と大陸棚斜面などから海底堆積物コアの掘削を行った.大陸斜面から得られたコアの一つであるHole U1524A(74°13.05’S and 173°37.98’W, 2394 m water depth)は,Antarctic Bottom Waterが海底に流れる通り道に位置し,高解像度の鮮新世の海洋環境を記録した堆積物を有している.本発表では,氷期(MIS M2)から温暖化していく一連の環境の変化に焦点を当て,約3.3–3.0 Maの堆積物に含まれる珪藻殻量および珪藻化石群集組成,特に海氷指標種や鉛直混合の指標となりうるChaetoceros属の休眠胞子化石,鮮新世に絶滅・種分化した種などの産出量変動から推定される古環境について報告する.