日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 火山噴煙・積乱雲のモデリングと観測

2019年5月30日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:佐藤 英一(気象研究所)、前野 深(東京大学地震研究所)、前坂 剛(防災科学技術研究所)

[MIS16-P06] 衛星および地上リモートセンシングによる阿蘇火山2016年10月8日噴火前の噴煙活動評価

*森田 雅明1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:火山ガス、阿蘇、リモートセンシング、二酸化硫黄放出率、OMPS

火山ガスの放出率は,二酸化硫黄(SO2)放出率として地上での分光学的遠隔観測により測定されてきた。近年,技術的な進展により,衛星搭載センサーを用いて非噴火時のSO2放出量を測定することが可能となってきた。本研究では,これらの測定手法を火山噴煙のカメラ画像と組み合わせることで,阿蘇火山2016年10月8日噴火前の噴煙活動を評価することを試みた。2016年4月~10月の期間で,Ozone Mapping and Profiler Suite(OMPS)により測定された大気中SO2量を,気象庁により地上で測定されたSO2放出率およびカメラ画像から推定した噴煙高度と比較した。その結果,これら3成分は観測期間全体で類似した変動を示した。2016年8月には大気中SO2量および噴煙高度は,それぞれ1000トンおよび火口縁上900メートル程度に増大した。両者の値は,その後徐々に低下したが,10月に入って急激な上昇を示し,最高値に達した(それぞれ1200トン以上および火口縁上1010メートル)。これらの類似した変動は,脱ガスの状況が観測期間中には安定していたにもかかわらず,火道浅部における火山ガスの蓄積が,このマグマ水蒸気噴火のトリガーとなったことを示唆する。本研究の結果は,低い高度にある火山噴煙に対しても,衛星による火山ガス放出率のモニタリングが有用であることを意味する。