日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS17] 歴史学×地球惑星科学

2019年5月27日(月) 09:00 〜 10:30 201B (2F)

コンビーナ:加納 靖之(東京大学地震研究所)、芳村 圭(東京大学生産技術研究所)、磯部 洋明(京都市立芸術大学美術学部)、岩橋 清美(国文学研究資料館)、座長:加納 靖之 (東京大学 地震研究所)、岩橋 清美磯部 洋明芳村 圭玉澤 春史

09:45 〜 10:00

[MIS17-03] 大型太陽フレアを生じる太陽黒点の特徴と歴史的資料を活用した研究の可能性

*鳥海 森1 (1.国立天文台)

キーワード:太陽フレア、太陽黒点、歴史的資料

太陽フレアは太陽表面で生じる突発的な磁気エネルギー解放現象であり、太陽黒点の周辺で発生する特に強大なイベントは、電磁波強度の増大・高エネルギー粒子の放出・コロナ質量放出を通じて直接、間接的に地球へ影響を及ぼす。史上最大規模とされる太陽フレアは1859年9月の「キャリントンイベント」であるが、このような極端現象の性質を理解するには、観測データの揃ったイベントのサンプル数を増やし、統計的研究を行う必要がある。これらの現象には現代の研究に耐えうるデータが必ずしも残されていないが、それでもなお、いくつかの手法によって太陽黒点が巨大フレアを生じた経緯や過程を明らかにできる可能性がある。講演ではまず、第24太陽活動周期(特に2010年以降6年間)に生じた太陽黒点の観測データ解析や、磁気流体シミュレーションによる黒点モデリングから明らかになったフレア黒点の形状的・磁気的特徴について述べる。続いて、黒点スケッチなど太陽活動現象に関する歴史的資料を用いて磁気活動を復元した研究例を紹介する。これらを通じて、太陽フレア黒点に関する現代の知見を過去に発生した極端現象の資料に当てはめ、現象の一端を解明する可能性について議論する。