日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 古気候・古海洋変動

2019年5月29日(水) 10:45 〜 12:15 304 (3F)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)、長谷川 精(高知大学理工学部)、座長:岡崎 裕典

10:45 〜 11:00

[MIS19-01] 超大陸パンゲア時代の大気循環パターンと縦列砂丘の発達

*庄崎 弘基1長谷川 精2 (1.国立大学法人 高知大学理学部、2.国立大学法人 高知大学理工学部)

キーワード:風成砂丘、ナバホ砂岩、超大陸パンゲア、古風系、大気循環

超大陸パンゲアが存在していた頃(ペルム紀〜ジュラ紀)の地球は,大陸分布が現在とは異なるため,大気循環パターンや気候帯の分布が大きく変化すると考えられている.しかし,当時の大気循環パターンや気候帯分布については,地質記録に基づく復元や気候モデルの再現実験などが数多くなされているものの,様々な見解があり議論が続いている.本研究では,アメリカ中西部に広く分布する下部ジュラ系の風成砂岩(ナバホ砂岩など)を対象として,今まで謎だった超大陸パンゲア時代の地表風系・大気循環パターンの詳細な復元を試みた.修正された古緯度復元に基づくと,ジュラ紀前期には北緯24~33度に砂漠環境が広がっており,復元された砂丘前置面の方向からNNW-SSE配列の縦列砂丘が発達していたことが明らかになった.また復元された古風向パターンの分布から,北東風・北西風・西風の3方向の卓越風系が発達していたことが明らかになり,気候モデルで再現された北半球冬の卓越風系や亜熱帯高圧帯の位置とも整合的であった.この3方向の卓越風系とNNW-SSE配列の縦列砂丘の発達は,北緯30度付近を中心に発達する亜熱帯高圧帯の軸部が,軌道要素スケールで南北移動したことによって形成されたと考えられる.パンゲア時代には超大陸・超海洋の存在により,現在の大陸分布よりも軌道要素スケールの季節的な日射量変化が強く影響し,亜熱帯高圧帯の南北移動は大きかったことが気候モデルでも再現されている.すなわち,風成砂丘記録から復元されたパンゲア超大陸時代の大気循環は,季節変化や軌道要素スケールで赤道非対称に反転する子午面循環パターンであり,気候モデルの再現結果を整合的に説明できることがわかった.また,現世縦列砂丘とジュラ紀前期の縦列砂丘の配列方向の違いの要因は,大陸分布の違いに依存した亜熱帯高圧帯の南北移動の移動幅の違いによって生じたと考えられる.