日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS19] 古気候・古海洋変動

2019年5月29日(水) 10:45 〜 12:15 304 (3F)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)、長谷川 精(高知大学理工学部)、座長:岡崎 裕典

11:45 〜 12:00

[MIS19-05] 千葉複合セクションに記録された磁場逆転境界付近における花粉分析を用いた古気候復元

*岡田 誠1滝沢 ひとみ1羽田 裕貴2菅沼 悠介3,4シモン クォンタン5 (1.茨城大学理学部理学科、2.茨城大学大学院理工学研究科、3.国立極地研究所、4.総合研究大学院大学、5.エクス−マルセイユ大学)

キーワード:千葉複合セクション、花粉化石分析、松山ーブルン地磁気逆転

本研究では地磁気逆転時におけるいわゆるスベンスマルク効果を検討することを目的として、M-B極性反転境界を含む千葉複合セクションにおいて花粉分析を行い,モダンアナログ法により得られる定量的な古気候変動と古地磁気および10Be記録との対比を行った。
 本研究で用いた試料は,先行研究 (Suganuma et al., 2018)で用いられた花粉化石データの採取密度が低かった層準区間 (Byk-Eテフラ層の上位 4-31m)における33層準から採取した.試料に対して,前処理としてKOH-アセトリシス処理(Moore et al., 1991)とフッ化水素酸処理を施し,花粉化石の抽出を行った.光学顕微鏡による検鏡の結果,木本花粉1科24属,草本花粉2科1属,胞子2属の計3科27属を同定した.出現した花粉化石は,いずれの層準もPinus(マツ属)が多産し,その他にPicea(トウヒ属),Tsuga(ツガ属),Fagus(ブナ属)等亜寒帯~冷温帯を主な分布域とする花粉が多く占める結果となった.
 花粉データに対しモダンアナログ法(Nakagawa et al., 2002)を適用したところ,復元した古気候パラメータが,全体的に現在の対象地域周辺より低い気温を示した.モダンアナログ法から復元した各種気候パラメータを酸素同位体比変動や日射量変動,銀河宇宙線量を示す10Be,相対古地磁気強度と比較したところ,年平均気温の変動はおよそ浮遊性有孔虫の酸素同位体変動と同期した変化を示し,Kitaba et al. (2017) で報告されたM-B境界における磁場逆転に伴う気温の低下及び寒冷化の継続は確認できなかった.