[MIS19-P23] 浮魚類の個体数指標としての堆積物中環境DNAの利用可能性
キーワード:環境DNA、堆積物コア、定量PCR、浮魚
これまで、100年を超える海洋の魚類記録は堆積物記録には堆積物中の魚鱗を用いたイワシ類の記録(Kuwae et al., 2017)や、堆積物中の安定同位体比によるサーモンの記録(Finney et al., 2002)などが報告されているが、多くの有用魚種のうち、わずかな魚種の記録しか報告されていなく、過去の動態が不明である。そのために、ほとんどの有用魚種の個体数が、漁獲量記録が残る20世紀よりも前の時代にどのような長期変動を示し、どのような要因で変動していきたのかについてはほとんど明らかになっていないのが現状である。そこで本研究では、魚類の個体数を知るうえで新たな指標となりうる環境DNAに注目する。本研究は環境DNAが海底堆積物から浮魚類の個体数変動を明らかにする上で有効な指標となりうるかを評価すること、さらに海洋堆積物中に保存される環境DNAのソースを解明することを目的とした。
本研究で用いた海底柱状堆積物試料は、愛媛大学が所有する調査船『いさな』において、大分県別府沖で採取し[M1] た。本研究では、アシュラコアラーを用いて得られた3試料とグラビティーコアラーを用いて得られた4試料、計7試料を用いた。本研究では、堆積物中に魚鱗が多く残るカタクチイワシ(Engraulis japonicus)・マイワシ(Sardinops melanostictus)と魚鱗がほとんど残らないマアジ(Trachurus japonicus)にターゲットを絞った。堆積物中の環境DNAは、定量PCR法を用いて増幅・定量し、単位重量当りのコピー数を復元した。堆積物試料からDNAを抽出した後、DNeasy Powersoil kit(QIAGEN社)を用いて堆積物中の環境DNAを精製した。これをTacMan®定量PCRでDNAを測定し、検量線を用いてDNAのコピー数を定量し、単位乾燥重量当りのコピー数を求めた。得られたDNA濃度と同海域で得られた魚鱗堆積量、日本の漁獲量データを比較し、環境DNAの有効性を検討した。海洋堆積物中の環境DNAのソースがどこに由来するかを解明するため、海洋堆積物中の4つの画分にわけ、土壌、間隙水、魚鱗、骨についてDNA分析を行った。
本研究では、海洋堆積物中から環境DNAの抽出・定量化できた。カタクチイワシ、マイワシ、マアジの3種とも環境DNAと漁獲量との間に正の有意な相関が認められた。またカタクチイワシとマイワシの環境DNA濃度と魚鱗堆積量の比較に関しても有意な正の相関が得られた。以上の結果から環境DNAは過去の魚類動態を反映できる指標のひとつとなる可能性が高い。また、環境DNAは細粒画分の粒子サイズに高濃度で存在することが明らかになった。これは、堆積物中の粘土鉱物にDNA断片が吸着され、電気的に性質が変化した(Stotzky et al., 2000)結果、DNAが分解から免れた可能性が考えられる。
本研究で用いた海底柱状堆積物試料は、愛媛大学が所有する調査船『いさな』において、大分県別府沖で採取し[M1] た。本研究では、アシュラコアラーを用いて得られた3試料とグラビティーコアラーを用いて得られた4試料、計7試料を用いた。本研究では、堆積物中に魚鱗が多く残るカタクチイワシ(Engraulis japonicus)・マイワシ(Sardinops melanostictus)と魚鱗がほとんど残らないマアジ(Trachurus japonicus)にターゲットを絞った。堆積物中の環境DNAは、定量PCR法を用いて増幅・定量し、単位重量当りのコピー数を復元した。堆積物試料からDNAを抽出した後、DNeasy Powersoil kit(QIAGEN社)を用いて堆積物中の環境DNAを精製した。これをTacMan®定量PCRでDNAを測定し、検量線を用いてDNAのコピー数を定量し、単位乾燥重量当りのコピー数を求めた。得られたDNA濃度と同海域で得られた魚鱗堆積量、日本の漁獲量データを比較し、環境DNAの有効性を検討した。海洋堆積物中の環境DNAのソースがどこに由来するかを解明するため、海洋堆積物中の4つの画分にわけ、土壌、間隙水、魚鱗、骨についてDNA分析を行った。
本研究では、海洋堆積物中から環境DNAの抽出・定量化できた。カタクチイワシ、マイワシ、マアジの3種とも環境DNAと漁獲量との間に正の有意な相関が認められた。またカタクチイワシとマイワシの環境DNA濃度と魚鱗堆積量の比較に関しても有意な正の相関が得られた。以上の結果から環境DNAは過去の魚類動態を反映できる指標のひとつとなる可能性が高い。また、環境DNAは細粒画分の粒子サイズに高濃度で存在することが明らかになった。これは、堆積物中の粘土鉱物にDNA断片が吸着され、電気的に性質が変化した(Stotzky et al., 2000)結果、DNAが分解から免れた可能性が考えられる。