日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] 惑星火山学

2019年5月27日(月) 09:00 〜 10:30 106 (1F)

コンビーナ:野口 里奈(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、諸田 智克(名古屋大学大学院環境学研究科)、片岡 香子(新潟大学災害・復興科学研究所)、大槻 静香(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:野口 里奈(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、下司 信夫(産総研 活断層・火山研究部門)

09:30 〜 09:45

[MIS23-03] 月火星の縦孔と溶岩チューブと その天窓となる縦孔を通しての探査

*春山 純一1岩田 隆浩1山本 幸生1郭 哲也2,1三宅 亙2熊本 篤志3石山 謙1横田 康弘4大野 匠2,1 (1.宇宙航空研究開発機構、2.東海大学、3.東北大学、4.高知大学)

キーワード:月、火星、縦孔、溶岩チューブ、空洞

10年ほど前、火星探査機Mars Odyssey搭載のTHEMISによって取得された熱輻射データや、月探査機SELENE(かぐや)搭載の地形カメラ画像データに、直径、深さ共に数10mから数100mにおよぶ縦孔が発見された。これらは、溶岩チューブのような、火成活動によって形成された地下空洞に開いたSkylight「天窓」と考えられている。その後、多くの溶岩チューブと関係があると思われる縦孔や陥没地形が、火星や月の探査機によって得られた画像データにに見つかってきている。壊れていない溶岩チューブが月に存在することは、他にも、GRAILによる重力場データや、SELENE(かぐや)のレーダサウンディング観測によって示唆されている。
 月や火星の広大な大地形成に関する溶岩チューブの役割は科学的にも興味深いものであるが、まだこうした研究は十分にはされきっていない。溶岩チューブや、それらに開いた天窓といえる縦孔は、火星や月の火成活動史を調べるのに非常に優れた場所である。火星や月の溶岩チューブは、潜在的に微小隕石十爆撃や宇宙線放射から人や機器を保護する潜在的に安全なシェルターとなることも期待される。これら理由から、今後数10年にわたって、月や火星の溶岩チューブ探査は、各国の宇宙機関や民間企業によってもされていくであろう。
 本講演では、最近の溶岩チューブの研究や、その探査について、述べる予定である。