09:15 〜 09:30
[MIS24-02] GNSS-A海底地殻変動観測による海中音速構造の推定
キーワード:GNSS-A海底地殻変動観測、海中音速構造
GNSSー音響測距結合方式による海底地殻変動観測(GNSSーA)は、海底に設置した音響トランスポンダー(海底局)の世界測地系に準拠した位置座標を求める、いわば海底版のGNSSともいうべき観測技術である。
この観測では、音波によって船と海底局の間の距離を測定する。そのため、海中の音速構造の正確性が最終的な測位精度に影響し、センチメートルレベルの測位のためには、音速を0.1m/s以下の精度で与える必要がある。現状の観測機器の能力から、この精度内での測定自体は難しいものではないが、実際に必要とされるのは観測海域の平均的な値ではなく、音線の通った場所・時間における音速である。時間・空間で複雑に変化する音速を、全ての音線について、要求精度内で計測することは事実上不可能である。
一方で、音波の往復走時には、距離だけではなくその途中経路の音速場の情報も含まれているため、解析を工夫することで、音速の情報を取り出すことが可能となる。現在の解析では、音速を補正する関数を導入し、海底局の位置ともに補正関数の係数の推定を同時に行うことで精度を向上させている。この手法は、GNSS測位における水蒸気量の推定に類似している。GNSSの分野では、測位のノイズとなる水蒸気量をシグナルとして捉えるGNSS気象学が発展した。今後、GNSSーA観測においても、ノイズとして推定された海中の音速場を海洋学的なシグナルとして捉えるGNSSーA海洋学ともいうべき分野に繋ることも期待される。
音響データの持つばらつきの中から如何に音速の情報を取り出すかが、精度向上の鍵となる。この観測では、船が2〜5km四方程度の領域内を6〜20時間程度、航走しながら音響観測を行っている。解析では、こうした時間・空間的な広がりを持つ音響データも持つ残差情報から、海中音速の時間・空間的な変動を推定を行っている。このときに、船の航跡の形状が音速推定に大きな影響を与えるため、測線を適切に設定する必要がある。
本講演では、測線配置が音速と海底局位置の推定に与える影響について調査した結果について報告を行う。また、解析の初期値として与える音速の観測値の影響についての評価も行う。これらの評価は、船のオペレーションと音速観測についての適切な観測システムの設計に繋がることが期待される。
この観測では、音波によって船と海底局の間の距離を測定する。そのため、海中の音速構造の正確性が最終的な測位精度に影響し、センチメートルレベルの測位のためには、音速を0.1m/s以下の精度で与える必要がある。現状の観測機器の能力から、この精度内での測定自体は難しいものではないが、実際に必要とされるのは観測海域の平均的な値ではなく、音線の通った場所・時間における音速である。時間・空間で複雑に変化する音速を、全ての音線について、要求精度内で計測することは事実上不可能である。
一方で、音波の往復走時には、距離だけではなくその途中経路の音速場の情報も含まれているため、解析を工夫することで、音速の情報を取り出すことが可能となる。現在の解析では、音速を補正する関数を導入し、海底局の位置ともに補正関数の係数の推定を同時に行うことで精度を向上させている。この手法は、GNSS測位における水蒸気量の推定に類似している。GNSSの分野では、測位のノイズとなる水蒸気量をシグナルとして捉えるGNSS気象学が発展した。今後、GNSSーA観測においても、ノイズとして推定された海中の音速場を海洋学的なシグナルとして捉えるGNSSーA海洋学ともいうべき分野に繋ることも期待される。
音響データの持つばらつきの中から如何に音速の情報を取り出すかが、精度向上の鍵となる。この観測では、船が2〜5km四方程度の領域内を6〜20時間程度、航走しながら音響観測を行っている。解析では、こうした時間・空間的な広がりを持つ音響データも持つ残差情報から、海中音速の時間・空間的な変動を推定を行っている。このときに、船の航跡の形状が音速推定に大きな影響を与えるため、測線を適切に設定する必要がある。
本講演では、測線配置が音速と海底局位置の推定に与える影響について調査した結果について報告を行う。また、解析の初期値として与える音速の観測値の影響についての評価も行う。これらの評価は、船のオペレーションと音速観測についての適切な観測システムの設計に繋がることが期待される。