日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS25] 近年の気象災害:要因とその大気水圏・人間圏への影響

2019年5月26日(日) 10:45 〜 12:15 301A (3F)

コンビーナ:西井 和晃(三重大学大学院生物資源学研究科)、座長:西井 和晃(三重大学)

12:00 〜 12:15

[MIS25-06] 平成30年7月豪雨期間中の大気循環の主要変動モード

*西井 和晃1田口 文明2中村 尚2 (1.三重大学大学院生物資源学研究科、2.東京大学先端科学技術研究センター)

キーワード:大気循環変動モード、豪雨

平成30年7月豪雨では,西日本を中心に持続的な大雨が7月上旬に観測された.本研究ではこの持続的な大雨をもたらした大気循環場を,大気循環変動モードの観点から調査し,その外部強制要因との関係性を明らかにすることを目的とする.7月上旬平均300hPa西風の日本周辺での年々変動に対し経験直交関数(EOF)解析を施すと,第1モードが日本上空での西風と梅雨降水帯の強弱を表し,2018年のこの主成分得点は西風弱化と気候平均位置での梅雨降水帯の弱化を示している.一方,第2モードは西風ジェット軸と梅雨降水帯の南北変位を伴い,2018年のこの主成分得点は西風軸と梅雨前線の北上を示している.さらに,5種類の境界条件を与えた大気大循環モデルアンサンブル実験を行なった.第1モードと第2モードのパターンの再現性は観測と整合的であった.特に第1モードの出現傾向は中高緯度に観測値を与えた実験で観測と整合的であり,一方,第2モードの出現傾向は,熱帯に観測されたSSTを与えた実験で観測と整合的であった.ただし,第2モードの主成分得点の絶対値は観測よりも小さい傾向にあった.この第2モードの得点の小ささが,アンサンブル平均として7月豪雨を再現できなかった理由の一つと考えられる.