日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] 南北両極のサイエンスと大型研究

2019年5月30日(木) 13:45 〜 15:15 303 (3F)

コンビーナ:野木 義史(国立極地研究所)、中村 卓司(国立極地研究所)、杉本 敦子(北海道大学 北極域研究センター)、杉山 慎(北海道大学低温科学研究所)、座長:末吉 哲雄(国立極地研究所)、野木 義史(国立極地研究所)

14:00 〜 14:15

[MIS26-02] 「大型研究計画に関するマスタープラン」における極域科学の提案について

*中村 卓司1杉本 敦子2杉山 慎2野木 義史1末吉 哲雄1 (1.国立極地研究所、2.北海道大学)

キーワード:南極、北極、海水準変動

日本学術会議の学術の大型研究マスタープランは、今後10年程度で取り組むべき大型研究計画を、分野を問わず集めたものである。過去2年の検討を経て、極域科学分野を代表して「氷床変動に起因する海水準変動予測」をマスタープラン2020への提案として、 2019年3月に提出した。

従来の「極域科学のフロンティア」計画では、過去の地球環境変動を高精度に記録する一方で、複数のティッピングポイントを内在し全球へのインパクトが大きい極域の気候・環境変化の仕組みをシステム科学として解明すべく、相互に深く関係する極域の重要プロセスやデータを網羅する総合的・学際的な研究提案を行ってきた。評価としては総花的とのご批判を受けることも多かった。また南極地域観測事業といった国家事業の部分について、学術会議のマスタープランに馴染むものなのか、極地研の固有のミッションなのではないかといったご批判を受けることもあった。大学共同利用機関が全国の研究者を取り纏めて要求をすることは、本来マスタープランの本質であるものの、やはりIGY(国際地球観測年)以来の大規模な国家事業としての歴史のイメージが強く残っていることは一考に値することであろう。そこで、2020年のマスタープランには、南極観測事業そのものと北極環境研究の最近補助金として実施しているプロジェクトとは少々棲み分けの様相をもつような切り口で提案をまとめることとした。もちろん、これらの事業やプロジェクトとの連携が重要であることはいうまでもない。すなわち、マスタープラン2020への提案としては、これまでの方針を見直し、社会へのインパクトが最も大きい海水準変動予測を出口として設定して研究課題を絞り込み、氷床変動を総合的に研究する提案として再構成した。

本講演では大型研究をとりまく状況を紹介するとともに、これまでの極域科学の大型研究計画の取り組みをレビューし、本提案の検討経緯を説明し、セッションでの議論や今後の取り組みに対する検討の口火を切ることを目的とする。南極・北極は、宇宙惑星科学、大気水圏科学、固体地球科学など多様な分野が結束してとりかかるべき重要な研究フィールドとなっており、ぜひとも国民やステークホルダーにその重要性を広く理解いただくことが肝要であり、JpGUの皆様の支援を得たいと考える。