日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 大気電気学:大気電気学研究の自然災害軽減への応用

2019年5月28日(火) 09:00 〜 10:30 202 (2F)

コンビーナ:芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)、座長:森本 健志

10:00 〜 10:15

[MIS27-05] 雷現象と地上構造物の雷害対策

★招待講演

*横山 茂1 (1.静岡大学)

キーワード:雷、雷害対策、送配電線、風力発電

送電線や配電線に雷が落ちると、電線と大地の間に高電圧が発生して碍子で放電が起こり、停電が発生する。雷電流の波高値が大きい時に高い電圧が発生する。また、電流の波頭長が短いほど高い電圧が発生する。一方、避雷針が雷の捕捉に失敗して建物の屋根部や壁面を破壊する被害は、逆に、雷電流の波高値が小さい雷ほど生じやすい。さらに、避雷器が焼損する被害は、波頭長の長さにはあまり影響されず、雷電流の継続時間(電荷量)に大きく影響される。 雷被害の種類と雷のパラメータの関係を表1に示す。このように、地上構造物の雷被害に関係する雷性状は、対象物により異なり、雷害に関係する雷現象を十分理解して対策を立てることが重要である。

 しかし、対策を立てるための雷性状のデータが十分に判明している場合だけではなく、日本の冬季雷のように通常の夏季雷と性状が大きく異なる雷もあり、雷の季節特性や、地域特性についても、十分明らかにしておくことが、リスクマネジメントの観点から必要になる。以下に雷害対策に必要な雷性状を、説明するとともに、今後必要とされる雷観測の課題について考察する。