日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD44] 将来の衛星地球観測

2019年5月29日(水) 09:00 〜 10:30 302 (3F)

コンビーナ:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、Shinichi Sobue(Japan Aerospace Exploration Agency)、金子 有紀(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)、座長:本多 嘉明

09:35 〜 09:50

[MSD44-03] 災害およびモニタリングへの公共インフラとしてのベースマップ作成ミッション

*石塚 直樹1 (1.日本リモートセンシング学会)

キーワード:高空間分解能、広域観測、ALOSシリーズ

我が国として実現すべき衛星地球観測ミッションとして、災害対応・ベースマップおよび環境モニタリングに関するミッションを提案する。

本提案のミッションの目的は、大規模災害時の観測およびベースマップ作製、ならびに長期・継続的な定量的モニタリングによる地球資源の監視・解明である.ALOSの系譜となる光学およびSARセンサは高い空間分解能で観測することにより,基盤情報(土地被覆、地形、標高)、防災・減災(変化抽出、地盤変動、浸水、不法投棄)、農林水産業(精密農業、食料安全保障、森林、漁業)、エネルギー(地質、埋蔵量、資源管理、汚染監視)、気候変動(氷河、流氷、洪水)、環境(沿岸環境、炭素ストック)など実利用的なものから、地球科学にいたるまで多岐にわたる分野で利用されてきている。

Landsatシリーズが高く評価されるのは、継続性によるところも大きい。地球温暖化による環境変動、地球資源(鉱物資源、生物資源、水資源など)の長期モニタリングという観点からも、高分解能センサを搭載したALOSシリーズの途絶えない継続が望まれ、結果的にプレゼンス向上に繋がると考える。

光学に関しては、日本が優位性を有する数m~サブメートル級の高分解能画像を数十kmという広範囲で観測する性能が必要である。さらに、常時立体視機能の後継機による復活が望まれる。SARについては、DBF技術による数m解像度で数百kmといった広域の高分解能観測が継続可能と考える。

併せて、データ伝送の高速化、データオンボード処理、データ中継衛星などや地上局といったデータダウンリンク環境も含めた通信インフラの整備、データ圧縮技術の基礎研究なども併せて取り組んでいくことが重要であり、宇宙システムとしての検討が必要である。

また、観測頻度確保のために、機数の増大やコンステレーション、広観測幅、姿勢マヌーバなどの従来技術の検討を進めるとともに、革新的な解決方法として、静止軌道衛星からの高分解能観測などについても検討を進める必要がある。