日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT46] 統合地球観測システムとしてのGPS/GNSSの新展開

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 106 (1F)

コンビーナ:小司 禎教(気象研究所気象衛星・観測システム研究部第2研究室)、市川 香(九州大学応用力学研究所)、太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、津川 卓也(情報通信研究機構)、座長:Yoshinori Shoji(Meteorological Research Institute)

16:15 〜 16:30

[MTT46-15] Comparison of a water vapor observation with GPS and high sensitivity microwave radiometer, KUMODeS

*長崎 岳人1田島 治2市川 隆一3瀧口 博士4荒木 健太郎5石元 裕史5 (1.大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所、2.京都大学、3.国立研究開発法人 情報通信研究機構、4.国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構、5.気象庁気象研究所)

キーワード:大気水蒸気、マイクロ波放射計

GPSに代表されるように、大気中を飛翔させた電波を利用した測地システムは近年有効に利用されている。しかしながら、大気を飛翔する電波は水蒸気による遅延を免れることはできなく、特定の測定システムでは不定性の大きな要因となっている。一方、大気中の水蒸気量を同定する装置として地上設置型のマイクロ波放射計が以前より存在する。
新たに開発を行ったマイクロ波放射計”KUMODeS(クモデス)”は、大雨や積乱雲下で生じる竜巻等の局所的・突発的自然災害の早期発見を目的とし、大気中に存在する水分子から放射される輝線 (20-30 GHz 帯) ならびに酸素分子からの輝線 (50-60 GHz 帯) の広いスペクトルを同時に測定する。これにより大気中の水蒸気量等の推定を高精度で行う。クモデスの特徴として、電波天文観測技術の応用により冷却受信機を採用することで高感度(低雑音)を実現した。加えて冷凍機によって冷却する温度較正源を搭載し、遠隔操作での長期運用を可能とし、またこれまでよりも高い空間分解能を得られるシステムとするなど、既存のマイクロ波放射計に対して利便性の向上を図っている。クモデスを用いて、つくば市において半年間以上の長期観測を行った。また同地点にてGPSアンテナによる水蒸気量測定を行い、観測結果の妥当性の検証を行った。加えて、クモデスの発展としてより小型かつ低消費電力を目指した2号機の開発も実施した。本講演では、システムの概要ならびにつくば 市における大気観測の結果を報告する。
本研究は文部科学省·大学発新産業創出拠点プロジェクト「START」( http://www.jst.go.jp/start/) に平成26年度より採択され、その援助のもとに開発を行った。