日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT46] 統合地球観測システムとしてのGPS/GNSSの新展開

2019年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 106 (1F)

コンビーナ:小司 禎教(気象研究所気象衛星・観測システム研究部第2研究室)、市川 香(九州大学応用力学研究所)、太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、津川 卓也(情報通信研究機構)、座長:Yoshinori Shoji(Meteorological Research Institute)

16:30 〜 16:45

[MTT46-16] 局地的豪雨予測のための水蒸気ラマンライダーの開発と観測

*永井 智広1酒井 哲1吉田 智1泉 敏治2横田 祥1瀬古 弘1小司 禎教1白石 浩一3 (1.気象庁 気象研究所、2.気象庁、3.福岡大学)

キーワード:水蒸気、ライダー、豪雨、データ同化、天気予報

近年、雨の降り方が局地化・集中化し、局地的な豪雨による災害の激甚化が進行している。このような豪雨は、降雨の発生している地域に、大気下層で水蒸気を豊富に含んだ気塊が連続して供給されることが要因の一つであると考えられている。このため、局地的な豪雨を予測するためには、豪雨の風上側において、豪雨に供給される大気下層の水蒸気の鉛直分布を連続観測することが重要である。気象研究所では、水蒸気鉛直分布を測定するためのラマンライダーを開発し、2017年と2018年の夏期に首都圏において観測を行った。装置は、豪雨を発生させる水蒸気が運ばれる大気下層のなるべく低高度から、また、昼夜を問わずに観測を可能とするように注意して設計した。製作したライダーのうちの1台は容易に移動できる可搬型の装置とし、首都圏で発生する豪雨の風上にあたる海岸域の3ヶ所を観測点とした。ライダーで取得した水蒸気混合比のデータを使い、降雨予測のための初期的な数値実験として、ライダーで観測した水蒸気混合比を同化する実験を行ったところ、豪雨の発生が予期される地点の風上側のライダーで観測された水蒸気分布を同化することで、水蒸気の解析場が大きく変化したことが確認できた。さらに、九州で頻発する豪雨の量的な予測を向上させるため、水蒸気ライダー等を展開してデータ同化実験を行う新たな研究計画を開始したところである。