日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-01] ブラタモリの探究-「つたわる科学」のつくりかた

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 国際会議室 (2F)

コンビーナ:萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、座長:萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)

16:15 〜 16:30

[O01-09] ブラタモリにみる地球科学のアウトリーチ手法

★招待講演

*尾方 隆幸1 (1.琉球大学島嶼防災研究センター)

キーワード:ブラタモリ、アウトリーチ、ジオストーリー、生涯学習、地球科学、科学コミュニケーション

ブラタモリは,地理学的事象や地質学的事象をわかりやすく学ぶ機会を一般市民に提供し,地球科学の裾野を広げることによって,アウトリーチや生涯学習に高く貢献している。番組で扱われるストーリーは地理学や地質学のトピックスを多く含んでおり,それらが文学・農学・工学など,地球科学以外のトピックスともシームレスに連結している。地球科学のストーリー(ジオストーリー)をシームレスに構築する試みはジオパークでも盛んになされており,地球科学のアウトリーチにおいては重要な手法である。ジオストーリーを構築するにあたっては,数多くの科学的なデータに基づき,多彩なトピックスを精選する必要がある。ブラタモリで扱われる地球科学のトピックスに接するのは,一般市民だけではなく,地球科学の研究者や教育者も同様である。われわれ地球科学者は,自らの専門分野が番組でどのように扱われるかをチェックしており,同時に自らの専門分野が隣接分野とどのように繋がっているかを知る機会を得ている。ブラタモリのストーリーにみられる総合性とシームレス性は地球科学の教育・アウトリーチや科学コミュニケーションに対してあらゆる示唆を与えているが,それらは科学性を担保する案内人,科学的内容をわかりやすく伝える高い技術を持つ番組制作者,そして主役であるタモリ氏の高い教養に支えられている。