日本地球惑星科学連合2019年大会

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[O-02] 地球・惑星科学トップセミナー

2019年5月26日(日) 10:15 〜 11:25 国際会議室 (2F)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、関根 康人(東京工業大学地球生命研究所)、座長:山田 耕

10:15 〜 10:50

[O02-01] 小惑星探査ミッション「はやぶさ2」の挑戦と現在までの結果

★招待講演

*吉川 真1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:小惑星、探査、太陽系

世界初の小惑星サンプルリターンミッションである「はやぶさ」の後継ミッションとして、2014年12月に「はやぶさ2」が打ち上げられた。「はやぶさ」は技術実証が主目的のミッションであったが、「はやぶさ2」はサイエンスが主目的のミッションである。特に、太陽系が誕生した頃に存在していた水や有機物を調べることが重要な科学目的となっている。ただし、技術的トラブルが多かった「はやぶさ」の経験を踏まえて、より確実な探査技術を確立することもミッションの重要な目的となっている。

 「はやぶさ2」は約3年半の飛行の後、2018年6月に目的の小惑星リュウグウに到着した。まずは、搭載されているリモートセンシング機器を用いてリュウグウの詳しい観測をし、その後、小型のローバやランダをリュウグウ表面に降ろすことにも成功した。しかし、2018年10月に予定していた表面物質採取のためのタッチダウンは2019年2月に延期された。タッチダウンの後には、小惑星表面に人工的なクレーターを作る実験も行う予定である。そして、2019年末にはリュウグウを出発し、2020年末に地球に帰還する予定である。

 一方、探査している小惑星リュウグウの方は、コマ型をしていたり、表面は多数の岩塊で覆われていたりして、予想していたものとかなり異なった天体であった。これは、科学的には非常に興味深いものである。

 本講演では、「はやぶさ」を踏まえて「はやぶさ2」がどのような挑戦をしてきたのか、そして現在までの探査でどのような結果を得ているかについて紹介する。