日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P15] 雲と大気と夜間の明るさの関係

*岡野 颯1 (1.東京都立多摩科学技術高等学校)

キーワード:雲量、大気、気象、SQM、花粉

背景

天気は私たちの生活に欠かすことができない情報である。現在、天気は雲量を基に決められているが、雲量は目視で測定されているため正確ではない。また、航空業界では夜間のフライトでの安全性を高めるために雲の厚さを知ることが重要である。しかし、夜間の雲の厚さを赤外線で測定しているため、正確性にかけると考えられている。

最近はPM2.5や黄砂、花粉などのエアロゾルによる人への影響も大きく夜間の街の光を利用して大気の状態を詳しく知ることができるのではないかと考えた。

目的

 天気予報の信頼性をあげるために、雲量の測定を夜間の街の光を用いて行った。また、夜間の街の光による雲の厚さの測定は夜間のフライトの安全性の向上につながると考え、実験を行った。

実験方法

実験1,夜間の雲量の測定

本校(東京都立多摩科学技術高等学校:小金井市本町)屋上にSQM(Sky Quality Mater:夜間の空の明るさを測定する観測機器、星の等級にのっとって数値が設定されているため、数値が高いと暗く、低いと明るい)を設置した。SQMを用いて夜間の雲が反射した街の光を測定した。集めた数値のうち、快晴の日または曇りの日でかつ新月である日のデータを集めてグラフを作成した。

実験2,雲の厚さの測定

 2つの大きさの違う箱A(300mm*300mm*300mm),B(300mm*300mm*600mm)を用意した。それぞれの箱の中に液体窒素で発生させた水蒸気を入れ雲の再現をした。そして夜間の街を再現するために暗室で行い、下に光源を設置した。液体窒素が反射した光の大きさをSQMで測定した。

実験3,花粉による明るさの変化

実験2で使用した箱を用いて実験を行った。花粉がある大気の状態を再現するために、ブタクサの花粉を箱の中に入れ、②と同様の条件にして花粉が反射した光を測定した。

実験4,花粉の光の透過度

 花粉の色素が光を吸収しているのか調べた。実験3で使用したブタクサの花粉1gをとりリン酸緩衝液の中で潰した。2.3Mショ糖上に重層し遠心分離機に20分(1000×g)かけた。遠心によって得られた上清を分光光度計にかけて光(250~550nm)の透過度を測定した。



実験結果

結果1

快晴の日は曇りの日に比べ、全体を通して高い値が得られた。このことから、雲のない日の夜間は暗いということが今回の観測でわかった。

結果2

 どちらの箱も空き箱に比べてSQMの数値が小さかった。箱Bの数値は箱Aに比べてSQMの数値が低かった。このことから、箱Bの方が多く光を反射するということがわかった。

結果3

 花粉の入っていた箱は空き箱に比べて、SQMの数値が高いこということが見られた。このことから、花粉の入っている箱のほうが暗いということがわかった。

結果4

 花粉の色素は青色付近の色(350~500nm)を吸収することがわかった。実験3で花粉が光を吸収したのは、白色の光を用いたからだと考えられる。また、夜間の街の光は春や夏に夜間の街の光をSQMを用いて測定すると、光の大きさの変化にばらつきがあると考えられる。



考察

考察1

 SQMで測定した結果より、夜間の明るさが17前後のとき快晴、13から15前後のとき曇りという傾向が見ら、このことより、SQMの値が大きいとき、雲がない快晴だと考えられる。また、SQMの値が小さいとき、曇りということがわかった。

考察2

 箱Bの方が小さく、水蒸気の密度が大きくなったため、多く反射したと考えられる。ま

考察3

花粉の入った箱のほうがSQMの数値が大きかったことから花粉は光を吸収すると考えられる。

考察4

可視光の一部と紫外線の一部を吸収することが考えられる。



今後の展望

・雲の有無ではなく、具体的な雲量の測定。

・春や夏の湿度を考慮して、グラフを整える。