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[O03-P22] 回折格子を用いた流星の分光観測
キーワード:流星、回折格子
わたしたちは流星の色が流れ始めと流れ終わりで変化している画像を見て、流星の発光に興味を持った。そこで、分光観測を行うことで、流星発光に起因する元素を特定できると考え、研究を行った。研究では、はじめに格子数が300本/mmのブレーズド回折格子をデジタル一眼レフカメラに装着し、その装置を用いて流星のスペクトル写真を撮影した。次に、暗室でスペクトル管を流星を撮影する状況に近づけて分光観測をし、回折格子のスケールを調べる校正作業を行った。その後、画像解析ソフトウェアを使い、写真上で流星本体からその流星の光の由来となる元素に対応する輝線スペクトルまでの距離(ピクセル数)を測定した。最後に、はじめに撮影したスペクトル写真と校正作業で得た画像を比較して流星発光の由来となる元素を特定した。今回の観測では、ペルセウス座流星群とオリオン座流星群を、宮城県内の4地点からリモートシャッターと接続して1.3秒露出で撮影した。観測方法は上の通りである。結果として、2018年6月から2019年4月までの期間で、6つの流星群で約12万1500枚撮影を行い、ペルセウス座流星群で10個、オリオン座流星群で6個の合計16個の分光画像を得られた。その内、ペルセウス群では9枚、オリオン群では5枚で酸素禁制線発光が見られた。酸素禁制線発光は流れる速度が速い流星に見られることが多く、ペルセウス座流星群とオリオン座流星群は他の流星群に比べて対地速度が速いことが知られている。このことをこの研究により示せた。