13:45 〜 15:15
[O03-P53] クレーターに伴うレイの構造の解明
キーワード:月、レイ、隕石衝突説
⒈ 研究背景・目的
研究レイ(Ray/光条)は月面等に見られる、クレーターから放射線状に広がる筋のことである。私たちは、クレーター形成の通説である隕石衝突説に基づいた再現実験が身近なもので実施できることから、クレーターの周囲にできるレイも再現することが出来ると考えた。本研究ではその手法を用いて、レイを構成する物質が隕石または地面のどちらに由来するのかを明らかにすることを目的に、多様な月面環境を想定した再現実験によって調査した。
⒉ 方法
本実験ではスケール効果を考慮し、「隕石」には片栗粉、ベビーパウダーを使用した。その他いくつかの粉も試したが、実験の成功率や再現されるクレーターの形等から、これらの粉末が適していると判断した。衝突時の運動エネルギーを測定しやすくするため、高さを固定して隕石モデル(片栗粉の球体、鉄球)を自由落下させた。粉の球体は2つの計量スプーンを用いて作った。実験は三つのパターンを想定して行った。
1.何もない床に粉を落とす場合
1.計量スプーン2つを用いて落下隕石を想定した片栗粉の球体を作った。
2.高さ25、50、75、100㎝でそれぞれ5回ずつ黒シートに落とした。
3.粉の広がりをレイとして、落下点から8方向に番号をつけ、番号ごとに着地点からの飛距離を測定し記録した。また、8つの平均値をレイの半径とした。全体の写真を撮った。
2.粉を敷いた床に粉を落とす場合
1.食用色素を使って青い片栗粉と赤い片栗粉を作った。
2.半球型の計量スプーンで落下隕石を想定した赤い片栗粉の球体を作った。
3.月面を想定した青い片栗粉を直径が球体の4倍になるよう白いシートに敷いた。
4.2を3に落として、粉の広がりを写真で記録した。
3.粉を敷いた床に鉄球を落とす場合
1.月面を想定して一定の厚さ敷き詰めたベビーパウダーの上に、穴の開いた板を置いた。
2.穴に落下隕石を想定した鉄球を落とした。
3.穴から飛散したベビーパウダーの広がりを記録した。
⒊ 結果
実験1において衝突時の運動エネルギーとレイの直径のグラフに正の相関が見られた。この結果は先行研究と一致する。実験1・2どちらにおいてもレイに類似した模様を再現することができた。実験Ⅲの結果・考察についてはポスターセッションで詳しく発表する。
⒋ 考察
再現した例の形より、レイを構成するイジェクタは隕石と地面の両方に由来する。しかし、レイ全体の内、地面由来の方が割合は高い。よってレイ形成には地面の物質が大きく関係していると考えられる。
⒌ 今後の課題
本研究の実験は空気抵抗があったり地球の重力があったりと、月面とは違う環境下であった。このことから、再現実験の妥当性を検討する。
実験Ⅰ・Ⅱにおいて粉を落とす際の手動による作業を機械化できなかった。そのため、条件にばらつきがでてしまった。
実験Ⅱの実験結果が視覚的な判断であるため数値化など正確な情報処理方法を考えたい。
研究レイ(Ray/光条)は月面等に見られる、クレーターから放射線状に広がる筋のことである。私たちは、クレーター形成の通説である隕石衝突説に基づいた再現実験が身近なもので実施できることから、クレーターの周囲にできるレイも再現することが出来ると考えた。本研究ではその手法を用いて、レイを構成する物質が隕石または地面のどちらに由来するのかを明らかにすることを目的に、多様な月面環境を想定した再現実験によって調査した。
⒉ 方法
本実験ではスケール効果を考慮し、「隕石」には片栗粉、ベビーパウダーを使用した。その他いくつかの粉も試したが、実験の成功率や再現されるクレーターの形等から、これらの粉末が適していると判断した。衝突時の運動エネルギーを測定しやすくするため、高さを固定して隕石モデル(片栗粉の球体、鉄球)を自由落下させた。粉の球体は2つの計量スプーンを用いて作った。実験は三つのパターンを想定して行った。
1.何もない床に粉を落とす場合
1.計量スプーン2つを用いて落下隕石を想定した片栗粉の球体を作った。
2.高さ25、50、75、100㎝でそれぞれ5回ずつ黒シートに落とした。
3.粉の広がりをレイとして、落下点から8方向に番号をつけ、番号ごとに着地点からの飛距離を測定し記録した。また、8つの平均値をレイの半径とした。全体の写真を撮った。
2.粉を敷いた床に粉を落とす場合
1.食用色素を使って青い片栗粉と赤い片栗粉を作った。
2.半球型の計量スプーンで落下隕石を想定した赤い片栗粉の球体を作った。
3.月面を想定した青い片栗粉を直径が球体の4倍になるよう白いシートに敷いた。
4.2を3に落として、粉の広がりを写真で記録した。
3.粉を敷いた床に鉄球を落とす場合
1.月面を想定して一定の厚さ敷き詰めたベビーパウダーの上に、穴の開いた板を置いた。
2.穴に落下隕石を想定した鉄球を落とした。
3.穴から飛散したベビーパウダーの広がりを記録した。
⒊ 結果
実験1において衝突時の運動エネルギーとレイの直径のグラフに正の相関が見られた。この結果は先行研究と一致する。実験1・2どちらにおいてもレイに類似した模様を再現することができた。実験Ⅲの結果・考察についてはポスターセッションで詳しく発表する。
⒋ 考察
再現した例の形より、レイを構成するイジェクタは隕石と地面の両方に由来する。しかし、レイ全体の内、地面由来の方が割合は高い。よってレイ形成には地面の物質が大きく関係していると考えられる。
⒌ 今後の課題
本研究の実験は空気抵抗があったり地球の重力があったりと、月面とは違う環境下であった。このことから、再現実験の妥当性を検討する。
実験Ⅰ・Ⅱにおいて粉を落とす際の手動による作業を機械化できなかった。そのため、条件にばらつきがでてしまった。
実験Ⅱの実験結果が視覚的な判断であるため数値化など正確な情報処理方法を考えたい。