日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P62] ドローンを用いた遠州灘鮫島海岸の三次元モデルの生成と海岸線の検出

*髙木 瑛登1 (1.静岡県立磐田南高等学校)

キーワード:ドローン、遠州灘鮫島海岸、三次元点群

1.背景・目的

 磐田南高校地学部では,海岸浸食が進行している遠州灘鮫島海岸(図1参照)を調査するために,オートレベルとハンドレベルによる水準測量を行ってきた.しかし,人の手による水準測量では多くの時間と労力が必要となる.そこで,ドローン(図2参照)を用いて測量を効率的に行うことはできないかと考え,これに取り組むことにした.



2.方法

(1)海岸微地形の三次元再構成

 昨年は,ドローンによる海岸微地形の三次元再構成を行った.方法はまず,ドローンを用いて鮫島海岸を撮影する.次に撮影した動画から画像を抽出する.さらに三次元点群再構成処理ソフトを用いて取得した画像から三次元点群を生成する.最後に,海岸の再構成点群を作成する.なお,再構成点群のスケールは実際の海岸と異なるため,撮影の際に用いた実物のブルーシートの大きさを基準として,点群内に映るブルーシートに拡大・収縮の処理を施す.これにより,点群全体を実際と同じスケールに合わせることができる.また,再構成点群により作成した海岸微地形の精度を検証するために,にオートレベルとハンドレベルによる水準測量の結果と比較した.

(2)三次元点群からの汀線の検出

 本年は,三次元点群からの汀線の検出を行った(図5参照).まず,海岸の点群をy方向に細長い短冊状に切り分ける.次に,各短冊に対して,プログラムによる処理で一定の間隔でz方向に切り分ける.さらに,切られたものに対して,それぞれの範囲で分散を求める.最後に,閾値を決定し,分散の値が閾値を超えた場所を記録する.その後,描画を行う.これにより,汀線の検出と砂浜と海面の識別を行う.



3.結果

 図3はドローンの撮影画像を用いて鮫島海岸の海岸微地形の三次元再構成行い,これを可視化した図である.これにより海岸微地形の三次元再構成に成功した.この結果を測量機器による水準測量の標高の値と比較したものが図4である.なお,この比較では測量機器を用いて取得した標高を基準とした.二つの方法による値を比較すると,海浜の砂丘と前浜付近では若干の誤差が見られるものの,後浜付近ではほぼ一致していた.

 次に,取得した三次元点群を用いて汀線の検出を行った.閾値を人為的に決定しているため,閾値を自在に変更することにより,実際の海岸により近い位置や形状の汀線を検出することができた.



4.結論

ドローンを用いた遠州灘鮫島海岸の画像をもとに海岸微地形の三次元再構成に成功した.さらに取得した三次元点群をもとに汀線の位置や形状の検出ができた.



5.今後の展望

水準測量と点群から取得した結果を比較すると,標高に誤差が生じている部分が確認された.これらは,ドローンに搭載予定のレーザスキャナを使用することにより,再構成の精度の向上が期待される.また,今回行った汀線の検出では,人為的な操作が多かった.そこで,この研究目的である「測量の効率化」のためには,これらを自動化する方法が必要である.