日本地球惑星科学連合2019年大会

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[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P63] 茨城県会瀬海岸で見られた3年間の海浜地形変動とその要因について

*高土 海都1、*島野 航輔1、*酒地 晴登1、*徳田 芙優1、*永山 俊輔1、*根本 浩希1、*村上 翔渉1、*三森 優希1、*和田 寧志1、小川 健巳1、吉田 衣里1 (1.茨城県立日立第一高等学校)

キーワード:地形変動、海岸流、エルニーニョ

【はじめに】
近年,茨城県北部の沿岸地域で海岸侵食の報告がなされている(宇多ほか,2008)。私たちは本校に近い日立市会瀬海岸における現状に興味をもち,調査対象地として選んだ。まず,国土地理院ホームページ「地図・空中写真閲覧サービス」を利用し,1986年から2012年の海岸線の変化を調べた。その結果,海岸線が大幅に後退している様子が見られた。そこで,本格的に現地における測量調査を継続して実施してきた。
【目的】
会瀬海岸における地形変動の状況把握と,その地形変動の要因について考察することを目的とする。
【会瀬海岸の概要】
会瀬海岸は,茨城県JR日立駅の南約1㎞に位置し,背後に海蝕崖,北に海蝕台,南を会瀬漁港で囲まれた幅100m弱の太平洋に面した砂浜海岸である。海岸線は北東―南西方向に伸び、南東方向に開いている。海岸の砂は,主に中~粗粒砂である。
【調査方法】
調査法は海岸50m×30m四方内を5.0mごとに測量し,等高線図,海浜地形断面図,平均標高を作成・算出した。測量調査は2015年7月~2019年2月までの間,約50~70日ごとに実施した。
【結果】
調査した3年間,平均標高の値は239.3~156.3㎝の間を変動していた。また,その変動量は特に,後浜よりも前浜部分で大きかった。なお,変動が大きい時期は,前浜の傾斜角度も大きくなった。その要因は,海側部分の侵食によるものであった。

【考察】
後浜部分が変動せず,変動の場が前浜部分に集中していた結果より,変動を引き起こす主な要因として,「海岸流」との考察を試みた。
〇海岸付近の海岸流
会瀬海岸沖約5㎞に位置する海洋ブイのデータ(国立研究開発法人水産研究・教育機構/東北区水産研究所)を利用し,過去4年間の海岸流の流向割合を調べた。結果,南東(10%),南(16%),南西(21%)の3つが優勢であり,この3つの海岸流をまとめて「南向き系海岸流」とした。この「南向き系海岸流」の割合は,平均標高の増減量と反比例の関係であった。沿岸流と平均標高の間には弱い負の相関関係がみられた。

○南向き系海岸流とエルニーニョ現象

海岸流の変動が季節変動ではないことから,エルニーニョ現象との関連を調べた。エルニーニョ監視海域における平年値との水温差と南向き系海岸流の割合には弱い相関関係がみられた。よって,会瀬海岸の地形変動はエルニーニョ現象の発生と何らかの関係がある可能性がある。