日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-03] 高校生によるポスター発表

2019年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻地質・地球生物学講座岩石鉱物学研究室)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院)

13:45 〜 15:15

[O03-P71] 三陸ジオパーク北部エリアの検討とジオの魅力を高め変動帯をわかりやすく伝える「ジオ紙しばい」の提案

*安原 景星1、*加藤 花奈1、*権代 瑞歩1、*大久保 亜利沙1、*川崎 遼人1、*川端 真衣1、*吉田 聖矢1、*木村 ひとみ1 (1.マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニア)

キーワード:ジオパーク、三陸ジオパーク北部エリア、地域活動、科学クラブ

三陸ジオパークは、青森県から宮城県にかけての太平洋岸に設置されている。マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニアの属する八戸市水産科学館マリエントはその北端部にある。筆者らは、平成31年3月に郷土を学習する活動として三陸ジオパークについて学習した。八戸市水産科学館マリエントの近隣には7カ所のジオサイト(図1)がある。三陸ジオパーク認定ガイドから講義を受け、蕪島、是川縄文館、階上海成段丘、種差海岸の4つのジオサイトとその周辺を見学した。学習のふり返りとディスカッションの場で、興味深いがなじみが薄い、不明な言葉が多く仕組みが難しいという意見が出た。そこで、難しい用語を自分たちがわかりやすい説明に書き換える作業をした。分担して用語や現象、そのしくみを調べて一用語につき一枚の用語解説カードを作成して、互いに教えあった。その過程で、さらに疑問と興味が深まった。

 当クラブの目標には、見聞きした事に疑問をもち、学び調べたことを発信するという目標がある。用語解説カードで学んだことを仲間に教えるだけでなく、多くの人に知ってもらうために「ジオ紙しばい」を作ることにした。図や解説は、三陸ジオパークの各種パンフレットを基本とした。伝えたい事に焦点を絞った図(図2)やグラフで理解しやすくなる。さまざまなレベルに合わせるため、 高校生用と小学生用の二段階の解説を考えた。裏の解説(図3)を読み上げながら説明するので、演者の負担が減る。持ち運びしやすく、小人数の対象となるので、聴衆の反応に応じた対応ができる。作成の過程でさらに理解が深まるなどの利点がある。さらに、実演しながら意見を交換して、工夫していくことにした。

 八戸市水産科学館において、シニア会員とジュニア会員およびその保護者を対象に「ジオ紙しばい」を実演する機会を得て、アンケート調査を実施した。集計結果(グラフ1)から、おおよそ目標は達成できたと考えられた。自由記述では、興味がもてた、もっと知りたいなどの感想があった。「ジオ紙しばい」作りに参加したいという希望もあった。しかし、ジオパーク自体になじみがない、まだ用語が難しくわかりにくい、とても長い時間の話でイメージが湧かない、などさらに工夫を求める意見もあった。

 アンケート結果と実演の反省で出た意見をもとにして改善の方向性を検討した。さらにやさしい説明を考える、図を単純にする、複数にわけるなどの意見が出た。また、ジュニア会員も参加してもらって部数を増やす、ジオサイトでのガイド、英語や中国語への対応という発展も考えられる。

 簡単な用語を調べることからはじめて、「ジオ紙しばい」を作り実演した。それにより、「ジオ紙しばい」の有効性と改善点、発展させる方向性がわかった。

 この活動を通じて、私たちは今も動いている大地に暮らしていることが理解できた。また、縄文の昔から人は、いろいろな大地の変化に何度も適応し、むしろ変化を革新の機会にしてきたことを知った。そして、大地の変化をむやみにおそれず、よく知って、それにそなえる知恵をジオパークから学んでいきたい。そして、この考えを「ジオ紙しばい」を使って多くの人に伝えていきたい。

謝辞 
 この研究にあたり、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、八戸市、八戸市教育委員会、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館、国立研究開発法人海洋研究開発機構研究成果活用促進八戸市議会議員連盟、会員の所属する各高等学校はじめ多くの方々からご指導とご協力をいただいた。記してここに謝意を表する。