日本地球惑星科学連合2019年大会

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[J] 口頭発表

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[O-07] キッチン地球科学:手を動かす実験で頭脳を刺激しよう!

2019年5月26日(日) 09:00 〜 10:30 コンベンションホールB (2F)

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、栗田 敬市原 美恵(東京大学地震研究所)、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、栗田 敬

10:00 〜 10:15

[O07-05] 混合粉体がつくる砂山のパターン形成ー縞パターンと分離パターンの選択メカニズムー

★招待講演

*下川 倫子1坂口 英継2 (1.福岡工業大学、2.九州大学)

キーワード:パターン形成、砂山、雪崩

二種類の混合粉体を狭い隙間に流し込むと、砂山の麓に向かって雪崩がおこる。このとき、雪崩内部の振動によりブラジルナッツ効果現象が引き起こされ、各々の粉体が上下に分離した二層構造をもつ雪崩が出現する。この挙動は、偏析パターンもしくは縞構造パターンの砂山の自発的形成を促す。これらの砂山パターンの選択において、二種類の粉体A,Bの安息角と粒径サイズの大小関係が重要となる。粉体Aの粒径が粉体Bよりも"大きく"、かつ安息角がBよりも"小さい"場合は偏析パターンが形成される。一方、粉体Aの粒径と安息角が粉体Bよりも"大きい"場合は縞構造パターンが形成される。

私たちは三種類の粉体で同様の実験を行い、三成分砂山のパターン形成を調べた。二種類と同様、雪崩内部での各々の粉体の分離が三成分の砂山のパターン形成を引き起こしており、①縞構造パターン、②偏析パターン、③砂山上部は縞構造パターンで砂山下部は偏析パターン、④砂山上部は偏析パターンで下部は縞構造パターンといった4種類の砂山のパターンが観察された。混合した3種類の粉体の相対関係において、粒径が大、中、小の粉体の安息角を θ11、θ22、 θ33とした時、θ1133とθ2233のパラメータを用い、三成分砂山実験で観察される4種類のパターンを整理した。さらに、三成分粉体の粒径と安息角の大小関係による効果を表現した現象論的数理モデルであるroll-or-stay ruleを発展させ、実験結果が示した同様の相図を示すことができた。以上のことから、三成分混合粉体の安息角の比が砂山のパターン形成において重要であることが分かった。