日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] ジオパークで地球活動をイメージする -ジオ多様性の大切さを知ろう-

2019年5月26日(日) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O08-P02] SDGsを通じた洞爺湖有珠山ジオパークの再評価と利用促進のための戦略

*加賀谷 にれ1 (1.洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、減災教育、SDGs、ESD

洞爺湖有珠山ジオパークは、北海道南西部の胆振地域にあり、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の全域がそのエリアに含まれています。当地域では、SDGs(エス・ディー・ジーズ、Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)と関係する以下の目標に対応するプログラムを実施しています。「目標4:質の高い教育をみんなに」には、ESD(持続可能な開発のための教育)の推進が、また「目標11:住み続けられるまちづくりを」には、自然災害における被災者の削減や、総合的な地域減災の実施等の内容が含まれています。火山マイスターは、散策路を歩きながら噴火口や災害遺構を観察する現地学習のガイドに加えて、噴火災害や避難生活などを伝える座学の講師も行っています。また、専用の野外学習テキスト、ハザードマップ(火山防災マップ)、火山の噴火を理解する実験装置などを利用して、火山活動や災害を、分かりやすく伝える活動に心がけています。
この他に、対象を限定して次の取り組みを実施しています。「目標10:人や国の不平等をなくそう」には、年齢、性別、障がい、民族間における不平等の解消が含まれますが、当地域では特にアイヌ民族の文化を紹介する活動に取り組んでいます。「目標15:陸の豊かさも守ろう」には、生物多様性、生態系の保全及び持続可能な利用を進める内容が含まれますが、当地域では有珠山の生態系を学ぶ学習の実施や、多機関と連携した保全、環境教育に取り組んでいます。また、「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」には、国際連携や多様な関係者との連携により、問題解決を図る項目が含まれますが、当地域ではジオパークの国際活動や、地域内の分野、業種を越えた連携体制作りに取り組んでいます。これらの取り組みについては、より多くの人が利用できるよう、今後さらに内容の充実をはかります。
ジオパークは、地球の活動に係わるさまざまな魅力を楽しむ場所であると同時に、持続可能な社会のあり方を、自然災害などの具体的な事例を通して考えることができる場所です。洞爺湖有珠山ジオパークは、噴火を繰り返す火山との共生をめざし、減災教育の実践が続けられてきた地域です。ユネスコ世界ジオパークとして、今後も地域内における教育の充実はもちろん、国内、海外に向けた情報発信と、受け入れ態勢の整備を進めます。この発表では、そのための具体的な戦略を紹介します。